第46話

「『霊氷剣』」

 

 僕は魔法で生み出した水を凍らせ、一振りの剣を作り出す。

 その場を蹴り、天へと跳躍する。

 

「零華一閃」

 

 そして、剣を振るう。

 轟音を響き渡らせた元凶に向かって。

 闘技場の地面を割り、姿を現したのは試験用に使う魔物。

 『第二皇女スシャーナ』が管理を任されている魔物だ。

 その内の一体である飛龍に向かって剣を振り、飛龍の首を落とす。

 

「「「ぎゃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」」」

  

 天空を駆ける飛龍は一匹だけじゃない。

 二匹、三匹、四匹、五匹……全部で八か。

 

「ふんっ」

 

 僕は飛龍の足台として蹴り飛ばす。


「ぎゃぃぃぃぃぃぃ」

 

 飛龍のうちの一匹が僕に向かって短い前足を振るう。


「二閃」

 

 一太刀

 

 飛龍の短い前足が舞う。


 二太刀

 

 飛龍の首がずるり落ちる。


 動揺が。飛龍たちに動揺が走る。

 自らの同胞が何も出来ずに殺されていく様を見て。

 

「『踊れ、僕の手のひらで』」

 

「「「ぎゃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」」」

 

 飛龍は堕ちる。

 僕の幻術の中で。

 微睡む意識の中同士討ちを始める。

 飛龍たちはこれで終わりだ。

 

「『氷華輪』」」

 

 僕はついさっき首を落とした飛龍の腹を蹴り、地面へと堕ちていく。

 氷が血に濡れる。

 地上で戯れる魔物たちの血で。


「ご無事ですか?第二皇女殿下」


 僕は自身が降り立った目の前でつい先程まで魔物を蹂躙していた第二皇女に話しかける。


「えぇ。無事よ。ご苦労。他の魔物の殲滅も頼むわよ?」


「承知致しました」

 

 闘技場の床を突き破って出てきた魔物の数は多い。全部で100体くらいいるんじゃないだろうか?

 それらの魔物はこの場にいる人たちへと牙を剥けている。

 さっさと討伐した方が良いだろう。

 僕は魔物たちの方へと視線を向け、刀を握り直した。

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