第44話

 ローオス帝国が誇る世界最高峰の魔術学校テレジア魔術学園。

 世界一の広さを持つテレジア魔術学園に存在している施設のうちの一つ。

 闘技場。

 そのさまは古代ローマのコロッセオを連想させる。


 時が満ちる。

 賓客席の椅子の一つに座る一人の老人が静かに立ち上がり、賓客席に用意されていた特別な壇上へと昇る。

 その老人の言葉を今か今かと待ちわびる生徒と観客たち。

 誰もが口をつむぎ、静かに老人の言葉を待っている。


「すぅ」

 

 静寂の中、老人の息を吸う音だけが静かに広がっていく。


「テレジア魔術学園学園長ミハエル・ローエスが告げる!只今より!第四五回!テレジア魔術学園武闘祭の開催を宣言する!」

 

 ミハエル・ローエル。

 過去。ドラゴンを倒し、ドラゴンスレイヤーの称号を獲得した英雄にしてテレジア魔術学園の学園長である老人の言葉が大きく響き渡った。風魔術による声の拡散によるものだろう。


「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」


 静寂を完全に打ち破る数多の悲鳴が響き渡り、辺りを包んだ。


「おー。始まったか」


「……感想薄いな」


「まぁ名誉ある大会とか言われても平民でしか無い僕はピンと来ないしな。僕に思うことがあるとするのならば何仕事増やしくれとるんじゃゴラァ!?って感じだよ」


「まぁそうだよね。自分もそうだよ。下級貴族にもわからぬ」


「馬鹿野郎!かわいい女の子も出てくる一大イベントだろうか!」


「おぉ!!!」


 テレジア魔術学園武闘際。

 長い歴史を持つ武闘祭を僕はレイとア一緒に観戦していた。平民という立場としてここにいる僕には参加権はない。

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