012「青写真フラグメント」


俺の創ったモノは数知れねぇ……


今まで幸せにして来た人達やつらの顔を

思い出すと、嬉しくなって涙が出ちまう。


とは言っても、俺は元犯罪者だ。


罪状は傷害致死罪。

要は人殺しって訳だ。


なぜやったかって?


殺した相手そいつは俺を虐めていた奴でよ……

穏便に済ませようとしたが、そいつの一言で

俺の頭は湯沸かし器みてぇに沸騰しちまった

って訳さ。


何て言ったか分かるか?


「お前も、その同僚も、やっぱりバカ

じゃねーかwww バカは馬鹿らしく、

ヘコヘコしてりゃ良いんだよwww」


俺をバカにするのは別にいい。

だがな……俺の同僚を……こんな俺に、

同じ仲間として接してくれた同僚をバカに

すんじゃねぇ! って、何度も鉄パイプで

頭をブッ叩いちまった。


それを聞いた同僚は、悲しい顔してた。

「何で手ぇ出しちまったんだ」って……


仕方ねぇじゃねぇか……


俺にとってお前は、架け替えのない仲間

なんだよ……


今手ぇ出さなかったら……命より大切な何かを失いそうで……


そしたら同僚がよ……

「良いか? 三流は実力に自惚れて手を

出す。 二流は相手を見て手を出す。

一流は何されても手を出さねぇ。 だが、

1つだけ手を出しても良い例外があんだ……それは、自身の大切な、信条や、仲間や、

家族を貶された時だ。」


……俺はその時、これで良かったのかって

言ったさ……だが同僚が、こう言ったんだ。


「お前は間違ってねぇ。 俺が保証する。

確かにお前は法に触れた。 だが人としては完全に恩義を果たす武士そのものだ。

はっきり言って羨ましい。 俺もお前見てぇになりたいもんさ。」


最初は意味が分からなかったが、歳を重ねる

内に、だんだん意味が分かってきたんだ。


そして今、こうして俺は修理屋兼メカニック

として、毎日青写真ブループリントに新たな設計図を書く

日々を送っているって訳よ。


昔書いた青写真ブループリントは、戒めとしてビリビリに

破いちまって、はっきり何作ったか

分からなくなっちまったがな。


それでも今は、この幸せな日々を、今まで

不幸だった分、楽しんでる。

だから俺は、後悔はしてねぇ!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ケモナーさんの廃材置き場 ケモナー1号 @REIMU01

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ