女子校で百合百合してた親友を先輩に突然NTRたけど、過去に戻れたからVtuberになって取り返す~ヤンデレの元カノに身バレしないかヒヤヒヤです~
貼らいでか
女子校で百合百合してた親友を突然NTRたところまで
第1話 通学した
彼女のちいさな身体には、はちきれんばかりにライセンスが詰まっているんだと思う事がある。
言いたいことをすぐに言ってもいいライセンス。人の話を遮っても嫌な顔をされないライセンス。あとは、話が全然つまんなくても有難がられるライセンス。
彼女の可愛さならきっとホワイトハウスは顔パスだし、彼女ほどの愛くるしさがあれば最新機種が出る度にiPhoneを買い換えることだって可能だろう。
だから。そんな彼女が「許されるなら…」から会話を始めたときは意外だったものだ。
重い話かと思って身構えたもしたが、期待していたような人生相談が続くことはなかった。
「許されるなら、Vtuberになってみたいんだよね」
どうやら彼女、
興味を示さない私を見ると彼女は前に躍り出て、視界を占領しようとする。
「ねえ、ってば」
「ごめんだけど、Vtuberって知らないからなんとも。許可とかいるやつなの?それ。」
私達の会話はいつも彼女の先導で行われる。それは話題の面でもそうだし、彼女が一歩先で大振りのジェスチャーをするのもいつものことだった。
ぺたぺたと歩きながら、私に一杯一杯好きなものを伝える姿が可愛いのだ、彼女は。
「ええ!オソノイ!Vtuber!知らないの!本当に!」
オソノイは私の名前ね。
彼女が上半身をひねって私に驚いた顔を見せようとする。
生来声が小さいのか、どれだけ感情を顕にしても騒がしくならないのは彼女の才能だと思う。
もし私が本気の声量でこれだけ感嘆符を並べたら瑞羽ちゃんの耳が死ぬし、私達の学校に苦情が押し寄せることだろう。
「いやぁ、名前はみたことあるけどさあ。詳しくは知らないかな」
見なくても生きていけるし、とまでは言わない。
だって、好きだから語りたいです!って顔してるし。
私の言葉を聞き終わらないうちに、彼女はスマホの操作を始める。
「じゃあさ、おすすめの子がいるんだけど…」
アニメ絵の美少女を移した画面が私の前に差し出される。ご丁寧に布教用の動画を用意していたようだ。
「URL送ってくれれば見るよ」
「それじゃあ、本当の反応が分かんないんだよなぁ」
「別に…忖度とか、するつもりないよ?」
「あ、忖度って前に流行った奴だよね!」
嬉しそうに言う。彼女の語彙は流行にサジェスト汚染されてしまっているらしい。
加えて、彼女の見せてくれた動画はホラー映像にアニメの女の子が大声で喚くといった内容のもので、残念ながら私の琴線に触れるものではなかった。
「でもさ、瑞羽ちゃん私がハマった頃にはもう飽きてるじゃん。だから私もハマりづらいっていうか」
ただし、つまらなかった事は口には出さない。これが忖度である。
彼女が飽きっぽいというのは本当で、SNSも彼女に勧められて始めた数日後には別のアプリに移ったらしかった。
意味がわからない。
「私が飽きるまででいいからぁ」
「駄々っ子みたいな物言いしないの。そもそもいつからハマったのさ。」
「今朝」
「ざけんな」
「えええ、なんでぇ」
震え声と共に小さな体躯が縮こまる。物言いも相まって本当に子供みたいだ。別に叩いてないというのに、かわいいおでこをさすっている。
そんな彼女を眺めていると、「それよりさ」という言葉が口からぽろっと吐いて出た。
彼女は私が強引に会話を遮る事態が貴重だからか、居住まいを正して目をパチパチさせた。
「それよりさ、明日一緒に登校しないで、朝会の20分前くらいにあそこの空き教室で待ち合わせしない?」
口に出すと、身体がスッと軽くなる感じがした。
「大事な話?」
「大事な話。」
一度口から出たならもう、躊躇することはなかった。と、そこで慌てて付け加える。
「あ、当たり前だけど告白とかそういうんじゃないから」
これはふざけているのではなく、私達の通っている女子校では可愛い系も需要が高いのだ。
かっこいい女子はもちろんモテるが、可愛い系も普通にモテる。
「分かってるよぉ。あ、でもオソノイに告られたら即、おっけーだから」
「前なんか告られてなかった?後輩に」
高校二年生になってから彼女の可愛さには磨きがかかったし、先輩補正もあって把握する限り三人以上の後輩に告られている。
特に、子供っぽかった肩で切り揃えたふわふわの金髪も、おでこを出すように結ってからは大人っぽさが増した。
「お友達からってお願いした!」
「そう」
「後輩のお友達できるか不安だったけどさ~。万事万全!」
その万事万全は一時のものだと思うけど。
彼女は本当に変わった。
高校一年の頃は毎日ぴったり張り付いてきて、電話も毎日してきていたというのに、ここ半年にかけてそういったことはなくなったし、物思いに耽る時間が長くなったように思える。
私離れが着実に進行しているといえるだろう。
徐々に道が騒がしくなっていく。私が一抹の寂しさを感じている間に、私達はすっかりブレザーの群れに囲まれていた。
もうすぐ、学校に着く。
「じゃ、ここで」
「うん、またね」
彼女は話している最中ずっと私の方を向いていたが、別れを告げるとタッタッタッと走っていた。
そうなると彼女はもう振り返らない。
私は校門の前で立ち止まり、かばんの紐を握りしめる。木枯らしが一人になった私を狙い澄ましたかのように吹きさらした。
私は目立たないように立ち止まり、校舎を見上げた。
今日が
明日、10月20日は瑞羽ちゃんに私の死期を告げる日だ。
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あとがき
本作を手にとって頂きありがとうございます!最後までチョコたっぷりなので、是非楽しんで下さい!
一章は寝取られもののつもりで書いてますが、登場人物全員女の子なので2章以降とカップリングの異なる百合としてもお読み頂けます!
寝取られものがどうしても辛いという方のために一章の最後に一章の簡単なまとめを追加していますので、そちらをお読みいただければ問題なく、二章以降をお読みいただけます。
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