最終電車の終着駅
「一番線電車が通過しますご注意ください一番線電車が通過しますご注意ください」
僕の目の前を通る電車は官高いサイレンを鳴らしうるさい音を立てホームを通り過ぎた。
次の電車が過ぎたらもうこの世にいない。
僕はいつもの最寄駅のホームに一人立っていた
僕の目は目の前の人々が慌ただしくすれ違う様をただそこにあるように見ていた。
「二番線ご注意ください電車が通過します二番線ご注意ください電車が通過します」
あ、ついに終わりの合図がした、僕は何もかんがることなく、僕の全てがそこへ行けと足を前に動かす、そして左から電車が高い音でサイレンを鳴らしているまるで僕に行けと言わんばかりに、さよなら......世界......。
僕は確かに飛び込んだしかしさっき高いサイレンを鳴らした電車は僕の前を走って行った。
「な、なんで......」
僕はまた死ななっかた。
「いゃ~危なかったね~」
隣で僕のを手を握っている彼女がそう言った。
「あなた誰ですか?」
「ん? 私? 私は~教えない!」
「はぁ? なんなんですか! てか早くて離してください!」
「おーおーごめんごめん」
「......」
会話ができなくなっていた、しばらく人にあってないしましてや触れるなんていつぶりのことだろう、だから僕は動揺していた。
「それはそれで君? 何してたの?」
「な、何って......」
死のうとしてました......なんて言えなかった。
「だ、ただホームから電車を眺めてただけです!」
「へー電車好きなの?」
「え! いや」
好きって言っておけばよかったかもしれない。
「ふ~ん変なの」
「まもなく二番線に電車が参ります......」
「お! 電車来るよ行こ!」
「ちょ! これ終電!」
彼女は僕の手を強く掴み電車に引き摺り込んだ。
電車に乗ると乗客は僕らだけだった、当たり前だこの先止まる駅なんてほとんど利用者がいない無人駅ばかりなんだからこんな時間に他にいるわけがない。
「ねぇ! 貸切だね!」
彼女は意味不明なぐらいテンションが高かった。
「あの、この電車......」
「次の駅楽しみだね!」
話を遮られた、次の駅? 次の駅は山のど真ん中の周りに家一つないとこだぞ? 何が楽しみなんだ?
「それであなたは結局なんなんですか?」
「ん? だからひーみーつ!」
「なんなんですか......」
「それじゃ君のこと教えてよ、君名前は? 歳は?」
「言いたく......ないです」
「ふーんならおあいこだよ! 私はあなたを知らないしあなたも私を知らないそうゆう関係でいいでしょ!」
「はい」
なんだか彼女といると調子が狂うな。
「まもなく虹の公園前虹の公園前に止まります...」
「お! ついたよ行こ!」
「え! あ、はい」
虹の公園前? 知らない駅名だ
「わぁ〜綺麗」
「ほら君も早く早く!」
彼女に惹かれるがまま駅を出るとそこは僕が知るどんな景色より美しい公園が広がっていた。
「綺麗ですね」
「こら! 感想が薄い! もっとないの? 他に〜」
綺麗とゆう言葉しか浮かばなかったそれまでに僕の脳は死にかけていた。
「ごめんなさい」
「いいよ、行こ!」
彼女は僕の手を握り奥へと走り出した、しばらく進むと大きなお城があった。
「あそこ綺麗~あそこ行こ!」
「え? ちょっと!」
彼女は僕を引きずったままお城の前に着いた。
「入ろ!」
「ちょ! ちょっと待ってください!」
「ん? 何?」
「不法侵入......じゃないですか?」
「大丈夫! ここ私のおうちだから!」
こんなところに住む彼女はいったい何者なのかますますわからなくなった。
「わぁーすごい!」
中に入ると沢山の絵画や宙をぶら下がるシャンデリアとまさにお城という内装で沢山のメイドさんが迎えてくれた。
「ねぇ君? どのメイドさんがタイプ?」
急に頬が赤くなるのがわかった。
「た、タイプなんてないですよ!」
「ふ~ん残念行こ!」
それから彼女に引かれてお城の中を駆け巡った。
「楽しかったねー」
「あそこのメイドさんたちは何者?」
「大丈夫みんな幸せだから」
「それってどうゆう?」
彼女は僕の質問に答えることなく駅に戻った。
駅に着くとさっき降りたはずの電車がまだそこにいた。
「さぁ早く早く」
彼女に急かされるまま電車に駆け込んだ、僕が乗ると電車はベルを鳴らして走り出した。
「次はXXXXです」
僕には聞こえない言葉で駅名を話した。
「ねぇ? 次の駅って......」
「降りないよ! 絶対」
彼女はさっきまでが嘘のように暗い声でそう言った。彼女の瞳にさっきまでの光がなかった。
「間も無くXXXXです…」
僕はどんな駅なのか気になり外を覗いてみた、窓に映る景色は真っ黒だったうっすら川のようなものが見えたかと思えたその瞬間僕の体を魂から吸い取るような力を感じすぐさま頭を抱えてうずくまった。
「早く進め早く進め早く進め!」
僕はただひたすらに願った。
「間も無く電車が発車します---」
僕の願いが届いたのかすぐさま電車は発車した。
「あの駅はなんなの?」
「底......この世の底だよ」
彼女の瞳はまだ暗いままだった。
「次の駅は楽園、楽園です---」
「楽園?」
「そう! 楽園だよ! 楽しみだな~」
彼女は途端にいつものテンションに帰った。
「ねぇ? 君の夢は何?」
「え? 夢? そんなの考えたことないです」
「え? 夢って考える?」
「ん?」
ときどき彼女と話がかみ合わないな......。
「まもなく楽園、楽園でございます---」
「さぁ! 着いたよ行こ!」
また彼女は僕の手を引き駆け出した。
駅を出るとそこはお花畑が一面広がり気持ちい風が吹くまさしく楽園のようだった。
「さぁ遊ぼ!」
彼女は僕の手を引いたままお花畑に飛び込んだ。
「わぁーいい匂い!」
倒れ込んだ状態から見る彼女の横顔は可愛かった
「ねぇ君? 空! 飛びたくない?」
何を言っているのかわからなかった。
「空?」
「ほら!」
その瞬間彼女は空へ飛び上がりつられて僕も飛んだ。
「ははは! どう? 飛んでるよ!」
彼女に引かれ空を飛んだ。
「と、とんでる!!!!」
そこからは楽園の全てが見え途端に頭が痛くなった。
「気持ちいね!」
満面の笑みでそう言う彼女は最高に可愛かった。
「はぁ~楽しかった!」
駅に帰ると二台の電車が止まっていた。
「ねぇ?君、死にたい?」
突然の質問に動揺しことの発端を思い出した。
「死にたくないです」
「よかった! なら君とはこれでお別れだ」
「え? どうして?!」
「バイバイ! 頑張ってね!」
彼女は必死の作り笑顔で僕を電車の中に押したそして僕が電車に乗った瞬間扉が閉まり電車は僕らが来た方向に進み出した、駅のホームには怖いくらいの作り笑顔をした彼女がこちらに向かって手を振り続けていた。
僕を乗せたしばらく走って電車は突然止まった扉が開いて外に出るとそこは僕が死ぬ予定だった駅だった、辺りを見渡すとたくさんの人がホームを覗き込んでいた、警察や救急車も来て大騒ぎになっていた。
僕はこの日二度と忘れないほどに思い知らされた......
どんなお化けや幽霊よりもさっきまで笑っていた人の死体のほうがよっぽど怖いとゆうことを......
この日から僕は死ななくなった。
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