第4話 序章(4)
まあ、皆の予想通りと言うか?
この手のしくしくと涙を誘うテンプレ物語の定番メニュー通りでね。
俺がさ、売店の中をソォッと覗き込んだら棚に布をかけてある状態でね。
もう10時を過ぎているのに売店内には誰もいない状態でシーンと静まり返っている状態なのだ。
となれば?
おじさんに残された道は、裏口から園内に入り。園内で作業している、であろう社長さんか、係長さん、店長さん辺りを探して訊ねるしかないか? と思いつつ。
〈ギィー〉
と鈍い金属音を立てながら。
「お邪魔します」と小さな声を出しながら鉄の門を開け──。園内へと侵入して先ずは、裏口付近にある軽食、喫茶の中を覗いてみるのだよ。
お店の中に店長さんがいる事もよくある事だから。
「おはようございます」と。
俺は声を出しながらお店の扉を開けて、店内を覗き込み確認を始めだすのだよ。
「誰かいらっしゃいませんか?」
俺はついでに恐る恐ると声を出しながらキョロキョロと確認をするのだが、やはり人の姿、気配は感じられないけれど。
ここは二階もあり倉庫代わりになっている事も十年近くお世話になっているこの観光農園だからね、知っていると言う事で。
「あの~、大嶋ですがぁっ! 誰かいませんかぁっ?」と。
俺は今度はね、少しばかり大きな声音で叫び、呼んでみたのだが。
「…………」
〈シーン!〉だ。
シーンとね、音がしないのみなのだ。
だからこのままお店の扉を開けて叫び続けても意味がない事だから俺は、扉を『ギィー』と鈍い音を立てながら締め。
「う~ん、誰もいないな」と声を漏らすと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます