第5話 あまりにも高価過ぎる物を貰ってしまうと、くれた方も貰った方も、何か余所余所しくなってしまうと思うのは気のせい?

 ……狭間さんが僕たちに話し始めた。


「私は生まれつき視力が弱く、大人になる前に失明する……と言われてた。 私が『策定者フォーミュレーター』になることを条件に命を救われた時に『被覆素子ライニング・エレメント』を眼窩に充填され、付属品である、この眼鏡アイウェアを与えられ……。 それにより『策定フォーミュレート』出来るまでに視力が回復したの」


 ……! そうか! この『光る砂』のおかげで狭間さんは、あの眼鏡アイウェアが映し出すおびただしい情報を『策定フォーミュレート』しつつ、器用に本を読んだり出来るのか!


「……じゃあ、もしかしたら狭間さんも「ナメくん」みたいに色々な能力を使えるの?」


 ……と僕が聴くと、狭間さんは首を横に振り……


「いくら『被覆素子ライニング・エレメント』を持っていても、私の階位では『監視』と、『暗躍者クリープス直接時』に、白樺さんに『武器供与』する程度の事しか出来ない」……と言った。


 ……白樺先輩が「そう。 私が輪音を護るための『守護能』は、やすりさんから『又借り』してるんだ。 それにしても、その大本おおもとが、こんなに綺麗な『砂』だったとはね……」と言って、手の中の小瓶を改めて見た。


 狭間さんが「……これは、ただの『砂』じゃない。 私達『現生人類』の分際では、本来、視界に入れる事さえも許されない存在よ……。 こうして目にする事が出来るのは……全て『変革者イノーヴァー』である輪音くんの御力みちからの為せるわざ……」と言って、小瓶を頭上にかかげた。


 な、なんか凄い話になってきたな(汗)


 ……そうか……。 ナメくんは、『変革者ぼく』が使ったから現れたのか……。


「……輪音の気持ちは有難いけど、そんなわけだから、これは返すよ……」と言って、白樺先輩が小瓶を、また僕に渡そうとした。


「いや、戴いておきましょう」……と、狭間さんが言って、渡した小瓶を胸ポケットに入れた。


「ええ~~~~~!?」……白樺先輩が驚きの声を上げた


「良いんですか? こんな大切な物を貰っちゃって!」


「……輪音くんは、この前の闘いの時に白樺さんが大怪我したのを見て、心配してくれているんでしょう。 『変革者イノーヴァー』からの心尽くし……有り難く貰っておきましょう」


「……じゃあ……貰うね、ありがとう!」……と、白樺先輩も小瓶を大事そうにポケットに入れて、ニコッと笑った。


僕もホッとして、ふたりに微笑みを送った。

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