第3話「金平糖大好き!」って言ったら、友人に「お前は『まっくろくろすけ』か!」と言われた。

 その時、化け蜘蛛ぐもと目が合った!


『目が合った』って事は、僕には姿が見えている……って事の証明になる。


 姿を消して襲って来るなんて『暗躍者』の名に相応ふさわしい卑怯な奴だ! こんな奴は、さっさと片付けるに限る。



 僕の『臨戦態勢!』の言葉に反応したナメくんが頭の『ボンボリ』をヘリコプターのローターに変形させて飛んで来た。 そして、大きな光のたまになって、僕の全身を包み込んだ!



 ……時を同じくして、化け蜘蛛ぐもが『グギャーッ』……っと吠えながら、僕の首や心臓目掛けて、鋭利な爪を突き立てた!


 「きゃー!」……狭間さんの悲鳴だ!


 「輪音りんねーッ!」……白樺先輩も、声を枯らし、泣き叫んでいる!



 ……ふっ……


 2人とも、心配症だなあ〜。 ……僕とナメくんがタッグを組めば、な〜んにも怖いものなんて無いのに……ね!


「キュイィーン!」……ナメくんが、またちょっとクールに返事をした。



 ナメくんは、僕の完璧な『保護外殻ほごがいかく』になってくれていた。 子供の頃に憧れた特撮ヒーローのような、シャープな、それでいて力強いフォルムだ!


 ちょ〜カッコ良い!


 ……これの玩具おもちゃを売り出したら、絶対に儲かりまっせ!


 うん! 折角せっかくだから名前を付けよう!


 そうだなあ……


 ……


戦闘時コンバット人体保護外殻プロテクティブ相棒メイト』!


 略して『コンペイト』! どうだ!



 ナメくんの『コンペイト』は『完璧』な『保護外殻』だ。 当然、蜘蛛ヘタレの爪など、とんがりコーン並みだ。 白樺先輩を傷付けた爪は、根元ねもとから折れた。


 ……最大の武器を失った蜘蛛は、慌てて逃げ出した。 


 おやおや……逃げられるとでも思ってるのかな? バカだなあ〜……逃すわけ無いじゃん!


「ナメくん!」


「キュイィ?」


武器装着アームド!」


「キュイィーン!」


 僕が両手を前に伸ばすと、さっき白樺先輩が作ってくれた『ガトリング砲』が両腕に装着された!


 ……僕の大切な人達を苦しめた『暗躍者クリープス』……消え去れ!


『ガガガガガガガガガガガガガーッ』


 ……蜘蛛の化け物は、あっという間に蜂の巣になり、そのまま粉になって消えてしまった。


 ……ふうっ……終わった……。


 狭間さんの光るバリケードが消え、白樺先輩が組み上げた『銃座』も、元の机や椅子に戻り、散らかっている。 ……後で、皆で後片付けしようね!


 僕は凛々しい『コンペイト』の姿のまま、教室の床を踏み締めて、雄々しい姿を2人に見せた。


 ……!


 ……2人が、ゆっくりと僕に近付いて来た。


 ……テレビドラマだと、ここで感動的に抱き合ったり、キスしちゃったりするよね。 


 もっ! もしかしたら、今日、僕のファーストキスを奪われちゃうのかな……? 


 心臓がバクバクしてきた!


 ……僕は……目を閉じて暫く待った……。


 ……


 …………


 ………………


 ……何も……起きないなあ……


 目を開けると、目の前で2人が必死に……


 ……笑いをコラえていた。


 ……え? なんで!?




 ……白樺先輩が、ポケットからスマホを取り出し、僕を撮影してくれた。


 そこにうつった僕の姿は……


 うん! カッコ良い!


 ……カッコ良いけど、たった一箇所、スーパーヒーローとしては有り得ない部分があった。


 ……それは……


 頭の『ボンボリ』だあ!


 ちょーカッコ悪い!


 玩具おもちゃ化の夢がぁ〜〜(泣)

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