第2話『仮面ライダー』って、原作では顔の傷を隠すために、自分で仮面をかぶってたんだってね!

「リフテ!」『ガガガッ!』「リフテ!」『ガガガガッ!』「ズゥオーマ!」『ガガガッ!』『ロフテ!」『ガガガガガガガッ!』「エンマ!」『ガガガガッ!』「エンマ!」『ガガガガガガガッ!』


 ……狭間さんが唱える呪文? を白樺先輩が復唱し、銃口の向きを変えて銃爪ひきがねをひくと、銃の発砲音がけたたましく鳴り響いた。 そのたびに悲鳴のようなうめき声が教室中に木霊こだました! 


 ……白樺先輩が撃った銃弾が、視えない何かに当たり、その痛みで相手がのたうち回っているようだ。


 呪文のような言葉は、狭間さんだけが視認出来る『何か』? ……『暗躍者クリープス』の位置を白樺さんに伝える為の『座標』なんだろう。


「きゃーっ! 白樺さんッ! ロフテッ! ロフテーッ!」


 ……! 悲鳴に近い狭間さんの叫び声だ!


「ちぃっ!」


 白樺先輩が慌ててタブレット端末を小銃に変えて迎撃しようと構えたが間に合わず、その身体が吹き飛ばされて宙を舞った。 


「白樺さーん!」……狭間さんが泣きながら白樺先輩の名を叫び、光るバリケードを飛び出そうとした。


 教室の床に叩きつけられる寸前で、白樺先輩は、猫のように中空ちゅうくうで素早く回転して、音も無く着地した! す、凄い!


「私は大丈夫! やすりさんはそこから出ないで奴の位置を指示して下さい!」……白樺先輩が息を切らしながら言った。


 ……! 大変だ! 服が破け、肩から 血が出てる! 鋭利な刃物で切り裂かれたみたい……だ。


 そんな怪我を物ともせず、白樺先輩が素早く戻って来て、僕にぶつかった。


「ごめん! 輪音りんね! 大丈夫?」


 激しい息遣いと体温、そして柔らかい感触を感じながら、僕は……


 ……だんだん


 ……腹が立ってきた……。


 白樺先輩は、僕を護る為、必死に何かと戦ってくれている。 ……その人が僕にぶつかって「ごめん」……って謝った……?


 何で……先輩が僕に謝ってるんだ? 先輩は、何も悪く無い。


 悪いのは……僕だ……そう……全て……!


 それに、さっき白樺先輩は僕に何て言った?


『私は死ぬまできみを護る……』


 白樺先輩が、僕を護る為に『死ぬ』……?


 ……冗談じゃない。


 僕が生き残る為に、こんなに素敵な女性ひとを犠牲にするなんて……僕には考えられない!


 その上……守護……なんちゃら? に『護って貰って!』……だって! ……僕ってそんなに頼りなく見えるかなあ?


 ……そして……狭間さん……


 ……狭間さんも『僕を護る』と言って、こんなに必死になってくれてる。 ……それは、僕がこの世界を『完璧』にする為に存在している『変革者イノーヴァー』? だから……と言っていた。


『完璧な世界』……?


 く だ ら な い!  


 何が『完璧』だ!


 世界が『完璧』になろうがなるまいが、そんなのはどうだって良い。


 少なくとも僕が……ささやかだけど『完璧な人生』をまっとうする為に、ずはこの2人を護らなきゃ!


 そうだ! ……きっと、こんな時の為に、僕はあの日、星に願いをかけたんだ!


「ナメくん!」


「にゅっ?」……よし! 反応してる!


「白樺先輩の怪我を治して!」


「にゅうっ!」


 ……! やったあ! 逆再生のように、白樺先輩の肩の血が消え、皮膚や服が元通りになった! ……白樺先輩は、自分の肩を見て、その不思議な現象に驚きを隠せずにいる。


 ……よし! 次は!


「ナメくん!」


「にゅっ?」


「『暗躍者クリープス』が見えるようにして!」


「にゅうっ!」


 ……!


 ぎゃあぁぁ〜っ!


 でっ! デカい蜘蛛が目の前にぃ〜!


 ……狭間さんや白樺先輩は……僕を護る為に……こんな化け物と闘ってくれていたのか……。


 二人とも……感謝します! ありがとう!


 ……でも、もう大丈夫! これからは


 僕が……皆を……護るからね!


「ナメくん!」


「にゅっ?」


「『臨戦態勢』!」


「にゅうっ!」

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