第3話 スマートスピーカーって便利だよね〜

 ……早速『取扱説明書』を読んでみた。


 余りにも簡単だ。 設定も何も必要無い。


 『スマートスピーカー』と同じ要領で『名前』と『願い事』を言えば、それで完了みたいだ。


 やってみよう。


 缶を覗き込むと『ナメくん』と目が合った。 ……起きてたのか。


「ナメくん!」


「にゅ?」


「目のピント調節!」……と言って、メガネを外した。


「にゅうっ!」


 …! …! うそ! 嘘だろ!?


 双眼鏡のピントを合わせたかのように、ボケていた景色が急激にシャープになった!


 ……昔観た『スパイダーマン』とか言う映画のワンシーンを思い出した!


『取扱説明書』を読むと、基本的にやってはならない事は唯一つ『双子座流星群に願い事を唱えた日時以前に逆行してはいけません』……だそうだ。


 確かに『ナメくん』も消えちゃうから、全てが、リセットされちゃうんだね。



一生いっせい〜! 学校間に合う〜!?」……母の声だ!


 やばっ! 『取説』読むのに夢中になり過ぎた!


 ……輝かしい、僕の無遅刻、無欠席記録があ〜(泣)


 ……! い、いや、待てよ……。 ちょっと試してみよう。


 急いで詰め襟とコートを羽織り、ご飯を搔き込んで家を飛び出した。 ……そして……


「ナメくん」


「にゅ?」


「高速移動!」


「にゅうっ!」


 ……ナメくんが光に包まれ、どんどん大きく、シャープに変形した!


 ……ナ……ナメくんが……


 近未来的なバイクになっちゃった!

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