第2話 伝説VS文明

 実は、僕はとっておきの夜景スポットを知っている。 街頭すら無く、当然建物の光も見えない場所だ。


 もう暗すぎて、誰も足を踏み入れない。 だからこそ、星を観察するには、この上ないこう立地りっちだ。 リッチな気分になる。


 用意してきたシートを敷いて、その上に横になる。 準備している間にも、何回も流星が視えた!


 これは期待出来る!


 ……しかし、問題はここからだった。


 流星の速度は、文字通り瞬く間だ。 願いを3回も唱える余裕は無い。


 そもそも論として、僕の願いは、言葉が長過ぎる。 最小に纏めたとしても『完璧な人生を送りたい』……だ。


 『完璧』でも『人生』でもお星さまには通じまい。


 考えに考えた末、僕は良いアイディアを思い付いた。


 ずは、このスマホの『ボイスレコーダー機能』で『人生はやり直せない。 だから完璧な人生を送りたい』……と3回吹き込む。 そして、流星を発見したら、そこに向けて、大音量で高速再生すれば、願いが届く筈だ!


 ……何回か試すが、中々、上手くいかない! それ程、流星は速いんだ。


 そろそろ空が白み始めて来た……。 タイムリミットか……。 ……と思った時! 特大の流星が流れた! い、今だ! 


 僕は、ボイスレコーダーアプリの再生ボタンを押した!


 ……!


 ……流星が……消えない!?


 消えないどころか、何か大きくなって来た。


 そして驚いた事に、その光は美しい『輝く階段』のようになって、僕の眼前に到達した。


 ……メガネを拭いて良〜く目を凝らすと……光輝く何かが、しゃなりしゃなりと『光の階段』を降りて来た!

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