第3話 コンビニを見ないで外出する事出来ない説

 学校の帰り道、家の近くのコンビニを通る時……僕は必ず下を向いたまま、早足で通り過ぎる。


 ……最近のコンビニは、並んでしか買えないような食べ物をしれっと売っている。


 しかし……だ。あのコンビニという『魔窟』に足を踏み入れてしまったが最後、無駄な時間と、限りある財産を浪費してしまうのは目に見えているからだ。


「お〜い! 輪音りんね〜!」と、唐突に僕の名を呼ぶ声がした。


 声の方向を見ると、そこには既に私服に着替えた『白樺しらかば 嶺亜れいあ』先輩がいた。


 白樺先輩は、高貴そうな名前とは対象的に、非常にボーイッシュで姉貴的な女性ひとだ。


「どうした! 元気無いな〜。 何か辛い事でもあった?」……と言って、肩に手を回して来た。


「あっ、いや…コンビニのポップとか見ちゃうと、欲しくなっちゃうから……」


 ……と言うと……「何、言ってんだ青年!……ほら、行くよ! おごるからさっ」……と、そのまま店内に……。


 うわあああ! 新製品のオンパレードやあ!


 こうしてその日も、あっという間に過ぎ去って行くのであった。




 ……それにしても……あの新製品のチーズタルト……めちゃくちゃ美味しかったなあ〜


 白樺先輩! ご馳走さまでしたあ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る