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いつからだろう、彼女があの宗教に入ったのは。
ろ角門なんて変な名前のあの宗教は彼女のほとんどを変えてしまった。変わらなかったのは彼女の外見くらいだ。それだって髪型は変えてしまったから完全に同じわけではないけれど。
彼女はどうしてあの宗教に入ったのだろう。そんなこと、聞いてみたことはないけれど。
僕は彼女に変わってほしくなかった。ただそのままの彼女が好きだった。けれど彼女はそうではなかったんだろう。自分の全てをつくり変えるほどの何かがあったのかもしれない。けれどそれも僕は知らない。
僕は彼女の幼馴染で、中学校までは同じ学校に通っていた。ただそれだけだ。
彼女と僕の間に会話が必要ないくらい同じことを経験していた。そうして高校に上がって、別々の道を歩んでいた。向こうの道で何かがあったのかもしれない。僕は知らない。
彼女との話し方を僕は知らない。言葉が必要になったのは最近のことだから。
彼女と話さなければ。僕は彼女があそこにいることが嫌だから。少なくともそれは伝えなければ。それでどうなるかはわからないけれど。
あの宗教はなんとなく嫌だ。それがどうしてなのかはわからない。けれどそれでも嫌だと思う。
もしかしたら彼女は何かいいところを知っているのかもしれない。僕にはそれを否定するだけの理由はない。彼女の視点を知ったら僕も変わるだろうか。
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