プレジデントのオーナー ~報復に次ぐ報復~
角川太郎
第1話 始まり
セルシオ、プレジデント、マジェスタ、アリスト、シーマ、グロリア、セドリック、センチュリー、センティア
煙草の箱を横にしても入らない程に車体を低くした、いわゆるシャコタン、ガンダムみたいなゴツゴツしたものや流線形なデザインで車体を大きく魅せるエアロ、遠くからでも充分すぎる程、鳴り響く爆音、直菅マフラー、お洒落は足元からと車体からはみ出す程の太いタイヤとギラギラと光るホイル。
各自が自分が一番カッコ良いと思われたくて、オリジナリティに溢れた改造車に金と労力をかけていた。
今言えば、化石としか言いようがない。
無駄に爆音を鳴り響かせ、排気ガスを撒き散らす。まともに走れないから、道路の段差凹凸を必要以上に交わしながら、蛇行運転や割り込み運転を繰り返す。
それらをカッコ良いと勘違いした行動は、迷惑以外の何者でもない。
恥ずかしいというか時が経ちすぎて自分でも信じられないというのが、本心である。若気の至りと言えば格好はつくが、本当にどうしようもなかった。
弱者を苛めたり、お年寄りや女性には、最低限道を譲る精神は持ち合わせていたが、それでは決してペイ出来ない程、様々な人に迷惑をかけていたと思う。
無知な上にいつも感情的に振る舞い、自分の弱さを誤魔化してきた。
そんな僕でも一人の女性に出会い、恋に落ち愛し合うことができた。いつか結婚しようと夢を持ち努力をした。人並み以上に努力して人並み以下。
それでも砂を噛み、踏ん張ってきたつもりだったが、人生はそんなに甘くない事を教えられた。
"砂の上に家を建てるな"
昔よく親父に言われていた言葉。自分を変えるためと努力するが、今までのツケを払わなければ、前に進むことはできなかった。指を持ってかれようと目を潰されようと、前に進まなければ、僕の未来はなかった。
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