第3話 新年展望もステラヴェローチェ!

 2022年の日本競馬界の目標


 それは間違いなく悲願の凱旋門賞の制覇に尽きる。


 北米G1、香港G1で揃って日本馬ラブズオンリーユーが栄冠を勝ち取った2021年。


 その喜びは同年10月のフランス凱旋門賞でのクロノジェネシスの惨敗を治癒することも出来ない。


 また、オークス馬であり海外で好成績を収めた、このラブズオンリーユーも5歳牝馬として引退した。


 マイルの女王、グランアレグリアも天皇賞秋にエフフォーリアに完敗した後、自分の土俵であるマイルチャンピオンシップで最終の美を飾り引退した。


 コントレイルもジャパンCで最終の美を飾り、その姿はターフには居ない。


 そうすれば、2022年の主役は、誰もがエフフォーリアと名をあげるだろう。


 忘れられては困る存在として、穴票が挙がるとすれば、ダービーでエフを破ったジャパンC3着馬のシャフリヤールか、それとも異世代5歳のジャパンC2着馬のオーソリティか、はたまた、牝馬オークス馬のユーバーレーベンか…

 

 否、これらの馬達にエフフォーリアの牙城を崩すことは甚だ困難である。


 その牙城とは何か?


 上半期のビックレース宝塚記念、そして、秋のG1戦線である天皇賞、ジャパンC、そして、下半期ビックレース有馬記念


 この土俵で今年、エフフォーリアに勝てる馬が現れるだろうか?


 居ないだろう。


 4歳となるエフフォーリアの次なる目標。


 それは、宝塚記念を得て、秋の初戦は秋天、そしてジャパンCと有馬記念連覇で引退。


 そんな絵が、2022年の色合いに見える。


 全然面白くもなんとも無い色合いだ。


 エフフォーリア


 父系ロベルト血統で母父ハーツクライのサンデーサイレンスの血、そこにはトニービンの晩成型の血が通い、5歳、6歳で活躍できる資質、血の流れは過分に存在するが…

 

如何せん、コントレイルの4歳引退然り、複数栄冠の勝ち馬には、無事なうちに引退させ、種牡馬として繁殖マネーを稼がせる今の風潮がある。


 また、この馬には凱旋門賞のチャレンジも、恐らく、与えられないであろ。


 距離適正範囲が、1800mから2500m、ベスト2000mだ。


 血統は、先に言ったとおり、父父シンボリクリスエスのロベルト系、母父ハーツクライのサンデー系で、3000mの長い所も走る遺伝子はありそうだが、菊花賞を蹴ったことで春天も無し、よって、長い所は走ってみないと分からないといった不明瞭さが付き纏う。


 凱旋門賞フランスロンシャン競馬場2400mのとっても重い馬場条件。


 この重い馬場に対しても、エフフォーリアのロベルト系の欧州型の重厚な血統からすれば、全くもって通用しないことはない。


 しかしだ、凱旋門賞の特注品ではないことは確かだ。


 ベスト距離2000mが短く致命的であり、馬場も軽い良馬場を得意とし、これまでの戦績の9割が良馬場参戦である。

 

 海外はドバイが合いそうだ…


 面白くない。


 どんなに、この馬が日本G1、ドバイ等の海外G1を勝ちまくる馬であるにしても、凱旋門賞に通用しない馬であることが火を見るよりも明らかな馬である以上、馬券への期待以外に、この馬に興味が湧いて来ない…


 その意味からするとエフフォーリアは、私にとって、本当に残念な馬である。


 ならば、シャフリヤール、オーソリティ、ユーバーレーベンはどうかと言うと、ディープ、オルフェ、ゴルシの仔、凱旋門の負け馬の子供達だ。


 父の仇ばかしにその土俵に上げるには、余りにも現実的ではなく、夢想的な期待でしかない。


 凱旋門には高い壁が聳え立つ。


 ロンシャンはあまりにも気品に満ち溢れ、東洋の風がそのターフを引き抜けることを嫌がった…


そう、昨年の凱旋門賞馬を父に持ち、重馬場巧者のクロノジェネシスの惨敗が大きく影を落とすのだ。


 あの凱旋門仕様馬クロノが負けた後、どうして、凱旋門に敗れ散った系統で戦えるものか!


 参加することに意義があるとの時代は当に終わり、今、正に、凱旋門の覇者になるか否かの時代なのだ!


 そんな全くもって面白くも何ともない今年の展望を予想する中、今年最初の重賞レース、中山金杯に、あの馬が登録馬として上がっていた。


 ステラヴェローチェ


 忘れ去られた馬には決してならぬとばかりに、有馬からの連闘ローテにこの馬の名前があった。


 毎回善戦マンで、勝味が遅く、勝ち慣れしてないステラには、中山2000mへの距離短縮で、前に行く競馬を覚えさせる事は、今後に繋がると思う。


 まぁ、ステラ陣営も有馬記念からの連闘日程で、怪我でもされたら元も子もないので、中山金杯の最終登録馬として本気で登録しているとは思えないが…


 それにしても、2022年、新年の展望を見る中、どうしても挙げたい馬、ステラヴェローチェが金杯絡みで少々話題となっているのは、嬉しい感じがする。


 何度も言うが、今年の日本競馬界の夢は、凱旋門賞の奪取だ。


 その希望の光は、凱旋門賞馬バコを父に持ち、神戸新聞杯の不良馬場を突き抜けた重馬場巧者、ベスト距離2400mのステラヴェローチェしか居ない。


 現行の戦績での一般評価は、三流重賞G3の中山金杯登録馬


 構わない


 ここから這い上がり、臥薪嘗胆を胸の奥に潜ませ、新年の飛躍を祈願する。


 


 


 

 


 

 

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