第11話 名前だけの領地
本日一回目の更新となります!
午後にも更新いたします!
近況ノートにこの世界の地図を乗せてます!
(情報が、帝都とティアルスだけですが)
~~~~~
「ということで、領地を授かったんだが……」
俺はテーブルに地図を広げ、それをエリシアと確認する。
「ティアルス……あ、ここですね!」
エリシアは大陸の南東のほうを指さした。
修道院出身ということもあり、文字を読めるようだ。
だから、ティアルスが描かれた場所の文字を読み上げて首を傾げた。
「ティアルス、州? 旧十一州の一州という併記がありますが」
「ああ。神聖ルクシア帝国の前、ルクシア帝国の時代の領土だ。名前だけで、実際には支配が行き届いていない。今は、野生の魔物が多く生息する魔境と呼ばれている」
「え? それは」
「恐らく、領民もいない。帝都から徴税官も派遣されてないし」
まあ、価値のある領地をそうそう渡しはしないだろう。
エリシアは難しそうな顔をする。
「でも、こんな場所をいったいどうやって統治されるおつもりですか?」
「統治なんかしなくていいんだよ。基本的に、貴族は自領が安定していればずっと帝都にいるんだ」
平和な時は、身内や部下に統治を任せるのだ。
もちろん、領主は皇帝に税を払う義務がある。
でもそれは、領民がいればの話。
ティアルスには領民はいないから、収める必要もない。
そもそも辺境伯は国境防衛のため、税が免除されている。
「では、ティアルスに行く必要は」
「うん、ないね……でも」
「でも?」
「せっかくだし、一度見てこようかなと思って。お金も稼ぎたいし、ちょっとした旅行気分かな」
今の俺は領主だから、宮廷を合法的に長く離れることができる。
「もちろん、エリシアはここに残っていてくれても構わない」
「いいえ、お供いたします! アレク様がいる場所なら、魔境でもどこでも!」
迷うことなく、エリシアは即答した。どこかワクワクするような顔で。
エリシアはずっと修道院で働いていた。出て、帝都の市街ぐらいだろう。
だから帝都の外が気になるのだ。
まあ、俺もほとんど帝都の外に行ったことがないのだけど……
それはともかく、魔境の最奥まで行くつもりはない。
危険だろうし、近くまでにするつもりだ。
「心強いよ。それじゃあ、色々準備をしないとな」
物は《パンドラボックス》に収納できる。
できれば、移動のための馬が欲しい。
人目のない場所なら《転移》を使ってもいいが、人の多い街道では大っぴらには使えない。
護衛も欲しいが、あまり大人数は《転移》できるか分からない。闇魔法はあまり人に見せたくないし、エリシアとだけで行こうと思っている。
「ともかく、買い出しだ。エリシア、街へ行こう」
「はい!」
こうして俺たちは、帝都の商業地区へ向かうのだった。
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