第2話



 広場に着くといくつか箱が置かれている場所に移動すると受付の女の人が私達の方を向いた。


「ここで自分に合う武器を探してもらいたいと思います。そこの箱に入っている武器を自由に試してみてください」


「「「分かりました」」」


 そうして近くに置いてあった箱の中を覗くと長剣、短剣、槍、弓などさまざまな武器が入っていた。


「いろいろな武器があるね?」


「うん」


「そうね」


 そう言って舞ちゃんは箱の中に入っている武器をいくつも見て細めの剣を手に取った。


「私これにするわ」


 舞ちゃんはそう言うとその剣を軽く振った。その姿はなかなか様になっている。


「流石道場の娘だね?」


「その言い方はやめてよ」


 舞ちゃんは不満そうに頬を膨らませていた。そんな舞ちゃんの様子を笑いながらまこちゃんの方を見ると彼女は驚いた顔をしていた。


「……凄いですね」


 そうまこちゃんが言ったので私は腰に両手を当てながら自慢するように言った。


「まぁ、舞ちゃんだからね!」


「何で真奈美が胸を張っているのよ」


 と舞ちゃんは呆れた様子で私のことを見てきた。


「まぁ、そんなことは置いておいて。普段使っているのより重そうだけど問題ないの?」


 確か竹刀か刀を振っていたはずだから舞ちゃんが持っている剣はそれより重そうだし。


「これくらいならね? 重りをつけて振っているときもあったから」


「そ、そうなんだ」


 以前みたときは分からなかったけど、見えないところにでも付けていたのかな? とそんなことを思ったが私達も合う武器を探さないとね。


「とりあえず、私達に合う武器を探そっか?」


「は、はい。頑張ります!」


 私がそう言うとまこちゃんは意気込むように拳を握り締めていた。まぁ、初めて触るものばかりだから時間がかかるかもしれないけど。そんなことを思いながらいろいろな武器を試していた。




 そうして、置いてあった武器を一通り試したけど、これだ! というものはなかった。しいて言うならなんとなく包丁に近い短剣かな? という感じだ。まぁ、自分ではよく分からないから舞ちゃんに聞いてみるのがいいのかな?


「舞ちゃん」


「どうしたの?」


「一通り試してみたけど、どの武器がいいかよく分からないの。とりあえず普段使っている包丁に近そうだから短剣かな? とは思うけど、舞ちゃんから見て私はどの武器が合っていると思った?」


「……そうね。真奈美の言う通り短剣がいいかもしれないわね。でも、リーチとかのことを考えると長剣でも悪くはないかな?」


「なるほど」


 確かに短剣は使いやすいかもしれないけど、相手との距離が少しでもあった方がやりやすいかも? でも、置いてある剣は何とか振れる状態なので筋力的に難しいかもと思った。


「とりあえず、短剣にしてみる」


 そう言って刃渡り30センチほどの短剣を手に取った。この大きさは私が普段使っている包丁と同じくらいの大きさだから多分扱いやすいのでは? と思ったからこの短剣を選んでみた。


「あ、あの私はどういうのがいいですか?」


 するといろいろ悩んでいたまこちゃんも舞ちゃんに相談し始めた。


「まことさんは短剣の方がいいかな? 真奈美よりも刃渡りが長くても大丈夫だけど」


「え、えっとこれくらいですか?」


 そう言ってまこちゃんが取った短剣? は刃渡りが50センチほどありそうなものだった。


「うん。それ位の大きさ」


「私、これにします」


 まこちゃんがそう言うと先ほどの女の人が私達の方へ近づいてきた。


「みんな武器を決めたみたいね」


「「「はい」」」


「それじゃあ、早速簡単なことから始めましょうか。っとそう言えばまだ自己紹介をしていなかったわね。私はエレナ。よろしくね」


「「「はい」」」


 それからエレナさんによる講習が始まったのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る