優しい兄ちゃん

 塾の帰り道、自転車をシャカシャカ走らせ家へ急ぐ。

 田んぼに囲まれた田舎の一本道。暗くなった道を、ほのかに照らすのは電灯の明かりだけだ。


 その電灯の下に人影が見えた。

「うん? 電灯の下、誰か立っている?」


 俺は、幽霊をみるタイプじゃない。ということはだ、やっぱり誰かがが立っている。大きさからみると、まだ子どもだ。小学校の中学年ぐらいだろうか。


 こんな時間に一人でいるなんて、絶対に訳ありだと思う。虐待されて、家から追い出されたんだろうか?

 放っておくなんてできない。

 俺は優しいお兄さんだ。


 試験の結果で、志望する高校の合格判定をもらった俺は、超ご機嫌だった。

 そんな時ってさ、こんな風についついお節介心が沸いてきちゃう。

 みんなもそうだろ?


 

 小学生ぐらいの子を放っておくことができず、俺は電灯の下に近づいて行ったさ。


 


 


 


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