黒猫現る 少しの夢を見させる 新妻、妊婦編
すんのはじめ
第1話
前書き
何処からか黒猫が現れ「お前が大切にしている想い出をもう一度見させてやる」と言うと不思議な体験が・・
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まだ、朝なのに
「しようぜ。脱いで、テーブルに手をついて、尻を突き出せよ」
とズボンを下げながら言ってきた。
「そんなの嫌よ」 と返したら
「お前、させないと浮気するぞ。もう、何日もしてないじゃあないか」
私は、しぶしぶ言う通りにして、お尻を突き出していた。
「孕んでいるせいか、アソコが締まって気持ちいいぜー、ウッウツ、お前もいいだろう」
私は、声が出そうなのを押し殺して、気持ちがたかぶってくるのを我慢していた。終わると、仕事に出ていってしまった。私は、むなしい気持ちでティシュの箱に手を伸ばした。
昔、付き合っていた人と別れてから、しばらくして、高校の時の同級生に誘われて、遊びに行った。カフェという話だったけど、行った先は照明が暗くて、小さなステージではセクシーな衣装で男女が怪しげなダンスをしていた。その手前にテーブル席が並んでいて、壁側にはボックス席が幾つかあり、その中では抱き合っている男女も居た。私達は、テーブル席で飲んでいたのだけれども、そのうち、隣の男二人連れと同席していた。久しぶりだったので私飲み過ぎたみたい。
皆で外に出た時、歩き始めたら直ぐに酔いがまわってきて、気が付いたら、男の人と二人っきりだった。強引にラブホに連れ込まれて、私、半分、どうでも良くなっていた。服を脱がされて、入れられてしまった。「お願い、中には出さないで」と言うのが、精一杯だった。
その後も、たびたび、呼び出されては、言われるままに、抱かれた。その男の人が健ちゃんだった。初めのうちは、優しかったけど、彼のアパートに行くようになると、だんだん横柄になっていった。だけど、身体の関係もあったし、そのうち同棲するようになった。
夫の健ちゃんは、25才、今は印刷会社の営業をしている。私と付き合い始めて、直ぐに同棲して、もう3年になる。去年の秋に妊娠がわかって、なんとか籍を入れてもらった。同棲を始めてから、家賃や生活費は私が全部出してきた。
3か月前に私は自転車も危険なので、それまでの仕事を辞めている。それ以降、貯金が減り、出産の費用だけを何とか残している状態だ。彼は、自分の給料は、競馬とかパチンコに使って、飲んで帰って私の身体をむさぼって、勝手に寝てしまう毎日だ。
前の職場の仲間に相談すると、「そんな男とは早く別れた方がいいよ、ただで出来る女とぐらいにしか思っていないんだからね」と言われたけど、お腹の子の為にも、シングルマザーは避けたいと思っている。今朝も、「生活費を幾らか入れてください」とお願いしたが、機嫌が悪くなって出て行ってしまった。
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産婦人科を出て、私は海岸が見える公園のベンチで休んでいた。もう、臨月に入っていて、初めての子が産まれるのが近い。私は、白川ルリ 23才になったばっかり。
気が付くと赤いリボンをした黒猫がこっちを見ている。手下げ袋の中を探ったら、食べる煮干しがあった。妊娠がわかって鉄分補給にと魔がさして買ったやつだ。「食べる?」と言って数匹を手のひらにのせて差し出した。
「お前が大切にしている想い出をもう一度見させてやる」と黒猫がしゃべった。
「忘れられない想い出はあるか?」と続けた
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