〈短編集〉ヤンデレに洗脳される者たち
鬼雨とゐふ者
一人目 寂しいが故の
八重沼 恵理と出会ったのは高校生のころだった。
中性的な顔立ちで可愛いと美しいを足して2で割ったような存在でどこかのお嬢様らしい。
まぁ俺は彼女もいなければ友達すらいなく親は事故で幼いころに亡くなって本当にボッチだった。
そんな俺は買い出しのため街を歩いていると
「やめて!!放して!」
路地裏から何か叫び声が聞こえた。
やばいと思って走ると私服の恵理が男3人につかまっていた。
「いいじゃん~俺たち優しくするから~」
「嫌よ!!」
やばい...このままじゃ手遅れになってしまう...だが自分がこのまま出て行っても負けてしまう...そうだ!!
「助けてー!!女の人が悪い人につかまってる!!おまわりさーん!!」
なるべく声を子供っぽくして大きな声で助けを求めた。
「っち...邪魔者が...引き上げるぞ!」
そういって3人は逃げていった。
自分もそのまま八百屋に行って買うものかって帰ろうとすると。
「あの...?」
恵理が小さな声で話しかけてきた。
「はい?」
「あの...私を助けてくださったのはあなたですか?」
...やっぱそんな話か
「いえ...男の子が大きな声で『女の人が襲われてるー』と言っていたので来ただけですが...」
「そう...ですか」
「僕は買い物しますので...では」
そういって八百屋の方に向かて歩くと突然冷たい風が吹いてくしゃみが出てしまった。
「くしゅん...あーさむ...」
俺はそのまま八百屋の方に歩いていた。
彼女が見つけたと言わんばかりの顔をしてるとは気づかず
________________________
あの日から1週間が経った。
相変わらずのボッチだがクラスでは騒ぎが起きていた。
「聞いたか?恵理様彼氏できたらしいよ!?」
「ほんと?!その彼氏幸せ者だね!!」
「でも恵美様がね...あんなに男嫌いなのに付き合いだすとはどんな心境の変化なんだろう?」
「まぁ人は変わるものよ...噂によると助けてくれたらしいのよ...それで一目惚れ」
「助けてくれたって何が?」
「男3人に絡まれたときに助けてくれたんだって。」
「あーそれは惚れるかもね」
「ねー」
(またそんなこと起きたのか...本当に可哀そうだな...モテるってつらそ)
そんなことを思いながら授業を受けた。
放課後、帰っていると...
(なんかやけに変な感じするな...この視線というか...ふだん見向きもされないからこういう視線みたいなの嫌なんだけどな...)
やけに視線を感じる気がしたのだ。
(ん?...誰もいない...気のせいか?)
そう思うと前から2人のスーツを着た男性が現れ僕の目の前に立つと...
「ん?...むがっ...な、なに...を......」
ハンカチをかがされそのまま眠りについてしまった。
「お嬢様...」
「私の部屋に連れてって」
「かしこまりました。」
微かに恵理っぽい顔が目に映った気がした。
__________________________
「んっ...」
目を覚ますと見慣れない部屋が目に映った。
白を基調とした綺麗な部屋。
そして手足には白い手錠と鎖。
「あら...目が覚めた?」
声が聞こえた方を振り向くと恵理がいた。
「こんにちは初めましてではないですよね?」
「あ、あぁ...どうして僕はここにいるんだ?...あとここはどこだ?」
「そんなに質問してきても困りますよ...えーっとここは私の部屋であなたにお礼をするためにここに来てもらいました。」
「お礼?...僕にお礼することなんてないでしょ?」
「いいえ?なぜあなたは隠すのです?自分が私を助けた救世主だと?」
(助けたことが知られたのは良いのだが...なぜ俺は強制的に有無を言わさずここに連れてこられたのか?)
「あぁ...まぁ認めるよ...助けたと言っても声を出したくらいだが」
「ふふっ...ついに見つけた❤」
彼女の顔は魅惑的で獲物を見つけたライオンのような顔をしていた。
「なぜ僕をここに拉致するような形でここに連れてきた?」
「私はね...昔から欲しいものはどんどん手に入ってきたの、おもちゃもおいしいご飯もお金も...でも私はそんなものより欲しいものを見つけたの...それがあなた、私を助けて名も言わずに他の男なら自分が助けたと恩を着せて何かしようとするのにあなたは違った。そんなあなたに惹かれた...というよりかは欲しくなった。欲しくなったら手に入れる...その精神であなたを手に入れようとねここに連れてきたの」
「手に入れる...?そんな俺はものじゃないんだから!!」
「えぇ...最初から私のものになってしまったらつまらないわ...少しずつ隷属するようになればいいわ」
「こいつ...狂ってる...」
「そしてあなたのことも調べました...あなたは孤独なんですね...親もいなければ彼女おろか友達すらいない...寂しいねぇ...悲しかったねぇ...今度は私があなたを救ってあげる。」
「ぐっ...」
なんなんだ...こいつは...体がぞくっとして変な冷や汗が背中に流れる。
恐怖に近いこの感覚に飲まれそうになる。
「あ、あと...」
彼女は急に恥ずかしそうにしもじもじすると
「あなたのことが好きみたいで...あの日からずっとあなたのことが忘れられなくて...」
「え?」
もうわけがわからなくなった。
「私と付き合ってください...そしてその身も心も私にください。」
「い、いや...」
「どうして?あなたは孤独なのでしょ?」
「う...あ......」
「そんな変な自我なんて捨てて私のものになりましょ?」
「いや...」
「どうして?君はこれからも一人なんだよ?」
怖くて怖くてたまらなかった。
「...ふーん折れないんだ。あまり乗り気じゃないけど...しかたないか」
そうして彼女は床の上にスピーカーを置くとボタンを押した。
【あなたは私が好き。私もあなたが好き。】
そのまま彼女は部屋を後にし...そのまま鍵をかけた。
何もない部屋にずっと鳴り響く【あなたは私が好き。私もあなたが好き。】という言葉。
あぁ...助けて...いやだ...つらい。
「いやっ...あぁぁ...」
心はもう壊れかけていた。
【あなたは私が好き。私もあなたが好き。あなたは私が好き。私もあなたが好き。あなたは私が好き。私もあなたが好き。あなたは私が好き。私もあなたが好き。あなたは私が好き。私もあなたが好き。あなたは私が好き。私もあなたが好き。あなたは私が好き。私もあなたが好き。あなたは私が好き。私もあなたが好き。あなたは私が好き。私もあなたが好き。あなたは私が好き。私もあなたが好き。あなたは私が好き。私もあなたが好き。】
部屋に響く言葉は自分の体に入っていく。
何もない部屋はどんどん僕を壊していく。
「え...り...さま......い...や...」
もうあきらめようとしても声が出せない。
泣いて声が出ない...もう嫌だ...
そう思ううちに部屋に鳴り響く声に少し惹かれつつもあった。
「わたしも...あなたのことがすき?...えりさまもぼくのことがすきなの?」
辛いのに恵理さまが自分のことが好きだと思われていると考えると急に楽になって幸せに感じる。
ここで自分の体には恵理に抗えるものなどないことに気づいた。
そしてそのまま意識が沈んでいった。
_______________________
「あら...これは成功かな?」
彼女の目の前に映っている僕は彼女を見るや否や彼女に抱き着いた。
「あはっ...あはっ...」
もう壊れた人形だった。
「私はあなたのことが大好き。あなたもそうよね?」
「大好きです!!恵理様!!」
「ふふ...可愛い子...私はちょっと買い物に行こうかしら?」
「だ...め.....いやだ...」
壊れているのはわかっていても恵理様がいないともう自分はだめなのだ。
彼女が僕の中での救世主。
彼女をずっと自分のものにしていたい。
いまなら彼女の気持ちが大いにわかった気がする。
「もうだめ...はぁ...はぁ...もう...かっ...かわいいぃぃぃぃぃぃぃぃっ❤❤❤」
そのまま恵理様は僕にキスをしてくれた。
深い...深いキスを。
お互いの舌が絡めあい恵理様の息が僕の中に流れる。
それだけで興奮して体がビクッってしてしまった。
「ビクってしてるのかわいぃ❤」
彼女にされるがままだった。
でもそれが気持ちよくて愛おしい。
「あなたは私のなんだっけ?」
「僕は恵理様に忠誠を誓った恵理様だけのものです!」
「えらいえらい...」
頭をなでなでしてくれた!...うれしい!!
なんで僕はこんな神様のことを狂っているなんて言ってしまったのだろう?
こんな神様のことを狂っているといった自分が狂っていたのだろう。
でもそんな僕を直してくれた恵理様は本当に神様だ。
愛してる。
愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる❤
「愛してる...」
「わかってるよ。だーりん❤...目がうつろになってて可愛いね」
そのまま彼女は僕のことを直していった。
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