第2話

葵とは

私の職場で出会ったのです

葵は

少年のような

それでいて大人の男の色気のある

危うい子だったのです

葵はいつも決まった時間に

決まった飲み物を頼む子だったから

職場では

8時の王子さまと呼ばれていたわ

私は年上だろうし

関係ないと思い

葵に対しても普通に接していました


ところがある日

出勤前に

葵が女性に詰め寄られている場面に出会し

凄く困っている葵の姿に

助けなければと

咄嗟に女性と葵の間に

割り込んだのです


お待たせ

待ったかしら?

葵に声をかけたら


葵は瞬時に状況を読んだのでしょう


朱美

今は彼女と付き合っているから

やり直すのは無理だ

君が浮気をしたんだろ?

今更やり直して欲しいと云われても

無理な話だよ

もう2度と

連絡も待ち伏せもしないでくれ


そう朱美と云う女性に告げると

私の腰に手をまわし

彼女の前から歩いていく


離れた場所から

朱美と云う女性がもういないか確認し葵が私に頭を下げた


助かりました

ありがとうございました


私たちは

それ以上何もなく別れ


8時に葵はいつも通り店に現れ

そしていつも通りの飲み物を頼み

そしていつも通りに帰るのかと思えば

私にメモを手渡してきたのだ




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る