第183話 甘々イチャイチャなバカップル
9月1日―――。
いよいよ、今日から2学期だ。何だか今年の夏休みは色々とありすぎて、本当に……大変だった。いや、まあ、楽しかったというのが本音だけど、これまでそんなにアウトドア(単なるお出かけだけど…)なことをしてこなかったから、正直なところ筋肉痛とかにも悩まされた。
うーん。もっと彼女にとってカッコいいところを見せたいな。
だって、夏休みに見せれたカッコいいところって、ナンパ男を撃退したことくらいに思う。
夏休みはずっと遊里さんと一緒にいてた。
一緒のベッドで寝たけれど、別に毎日がエッチなことばかりというわけでもなく、優しく抱きしめてくれる彼女を愛おしく思いながら寝ることもあった。
一応、勘違いしているかもしれないから、みんなに伝えておきたいんだけれど、ボクは盛りのついた犬ではないのだから、そんなに毎晩彼女とヤっていたわけではない!
ボクらの中では本当に同棲したあとの予行演習に近い夏休みだった。
昨日は夏休み最終日で、遊里さんはバイト、ボクは妹の宿題の総チェックをしてあげていた。
だから、お互いLINEで言葉を交わすことはあったけれど、会うことはなかった。
ピンポーン。
トーストをかじっている妹が、ジト目で「お前の彼女だろ? 行ってこい」という冷たい視線を向ける。
どうして、こうもウチの妹はツンデレ属性を兼ね備えているのだろう。
もう少し、兄として優しく接して欲しいのだけれど。
「ボクは先に出るから、楓も遅れないようにね」
「当然じゃない。今日は始業式だから、生徒会長の挨拶の横で立ち続けるという暇そうな業務があるんだから」
生徒会として大切な仕事をバッサリと切り捨てるのは止めなさい。
ボクは愛想笑いしてみせて、バッグを背負う。
ドアを開けると、爽やかな笑顔をした彼女がいた。
「もう! 遅いぞ! ちゃんと返事くらい先にしろーっ!」
爽やかな顔して怒ってくる彼女。
うん。何だか可愛い。
「ごめんごめん」
「て、まあ、いつも通りの時間なんだけどね。楓ちゃんはまだいるの?」
「ああ、いますよ」
「そうなんだ」
そういって、彼女は玄関に顔を覗かせて、
「楓ちゃーん、文化祭のお仕事、一緒に頑張ろうねー!」
「あ、はい! おはようございます! 遊里先輩!」
完全に油断していた楓は、リビングから顔を出して、挨拶をする。
「遅刻はしちゃダメだぞ!」
「もう! お兄ちゃんと同じこと言う! 分かってますって。もうすぐ出ますから」
楓は慌ててリビングに戻り、食器を洗いだした。
ボクはそれを確認すると、遊里さんの手を握り、
「じゃあ、行こっか」
「うん!」
一緒にエレベータに乗り込み、マンションを発った。
夏服ということもあって、身体の曲線が際立つ。
ブレザーがないことによるこの破壊力。しかも、ボクの腕を抱きしめてきている遊里さんは、意識しないでいるけれど、明らかにその…おっぺぇがボクの腕に弾力を惜しみなくぶつけてきている。
ブラジャーがあるだって!?
そんなのブレザーに比べたら、防御力はないに等しい!
むしろ、おっぺぇの攻撃力が増しているような気さえする。
「久々にこうやって学校行くの。何だか楽しいな」
「うん、ボクも」
もう、ボクらの世界に入ってしまっている。
周囲からは呪詛のような言葉すら聞こえてきそうな視線を叩きつける者もいれば、お世話になっている商店街の店主たちからは朝の挨拶と冷やかしの言葉が同時に投げかけられる。
そのたびに遊里さんは、少し恥ずかしがる。まだまだ初々しい。
周囲の人たちから見たら、ボクらは最近付き合い始めたようなものなんだから。
「あ、そうだ…。お祭りの翌日、体調大丈夫だった…?」
ボクはコソコソと遊里さんに話しかける。うん。ちょっとセンシティブだからね。
「え…。あ、うん。だ、大丈夫だったよ…。ちょっとふわふわしてたから、朝起きたときはヤバかったけど…。バイトもあったからすぐに普通に戻せたよ…」
「そっか…。良かった。ちょっとヤりすぎちゃったもんね」
「ちょ、ちょっと…! ここでそんなこと言わなくていいから!」
彼女は慌てて、ボクの口を手で塞ごうとする。
そう。お祭りの日の後、自宅に帰ってきたボクと遊里さんは久々に愛し合った。
本当に久しぶりにお風呂からベッドへと流れ、お互いを愛し合った。
ボクも久しぶりという高揚感に浸りながら、彼女を抱きしめた。
彼女は彼女で、甘く蕩けそうな表情をしながら、これまでにないくらい喘ぎ、そしてイき続けた。
前から、後ろから、抱きしめ合いながら、お互いがお互いの性を貪るように舌を絡めあい、彼女の身体はボクから搾り取るように反応し、そしてボクも何度も避妊具の中に出し続けた。
そして、最後、火照った彼女が、
「最後はそのままで…お願い…♡」
ボクは今日一番、抱きしめあった。そして、彼女とともに———。
遊里さんはピクピクンとしながら、顔を紅潮させつつ、
「すっごく良かった…。ありがとう、隼♡」
そう言って、気を失うようにベッドに倒れ込んだ。
そんなことがあったから、心配だったのだが、彼女は笑顔で応えてくれた。
「でも、あんなに激しいのはたまにしてね…。何度もしちゃったら、私、本当に壊れちゃうと思うから」
もちろんです。本当に久々だったので、ボクも興奮してしまったんです…。
これは謝ります。ごめんなさい。
「さ、今日からもっと青春しちゃうよ! 文化祭の準備が忙しくなるだろうから、頑張らなきゃね!」
「うん!」
遊里さんはボクら二人での文化祭を本当に楽しみにしている。
ボクも去年は、陰キャ組としてほぼ参加しなかった文化祭。
どんなイベントがあるんだろう、と胸いっぱいに期待を持ちつつ、
「遊里と一緒の文化祭なら、絶対に楽しいのは間違いないから、ボクも頑張るよ!」
「ちょ、ちょっと…。そういうの急に言わないの! 胸がキュンってなっちゃうんだから!」
ボクの彼女は可愛い。
でも、ボクも絶対に遊里さんにさらに好きになってもらえるようにカッコいいところを見せないと!
さあ、二学期も頑張るぞ!
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