幾星霜の夢箱 『俺はただのデブではない』

@borororo

エピローグ 

 

 15の時に俺は異世界行きの魔法陣に吸い込まれた。


 それから神と会い特殊なスキルを授けられ、魔王を倒したら移転直後の日本に能力そのまま帰還でき、さらに一つ願いを叶えるという契約をした。


 当初の俺は燃えに燃えていた。


 そりゃぁ誰だってそうだろ。

 

 自分が勇者の物語の主人公なのだから。


 子供の俺は浮かれて沢山の失敗もしたし、色々大切なものが出来て、それを無くしたりもした。


 魔王を討伐するまでの5年間で、少し大人になれたかなと思う。

 

 立派な物語を完成させた。


 まぁ、『正義の魔力』って最強で糞みたいなスキルで禁欲生活してたんだから当然だ。

 

 一つの願いは、この全ての悪事を許さない糞スキルを、仲間が持っていた敗者の全てを奪って必要な時に使う事ができるスキル、『勝者の目録』と交換だ。


 無論、それは魔王を討伐してそれを納めた後の、最高に価値の高い時のスキルをコピーしたものだ。

 

 故に、俺、今、地球で、最強。

 

 勝者の目録。


 そう思考すれば、下品な程装飾された金ピカの本が具現化する。

 

 日本に帰還してから早10年。

 

 豪遊に豪遊を重ね、飽きる程遊び回った。

 

 この本が有る限り法や武力に権力、病に寿命さえも俺を犯す事は出来ない。

 

 貸し切った旅館の露天風呂、今日は月見風呂だ。

 

 まったり、のんびり月見酒と洒落込み、ぼんやりしてる時にそれはおこった。 

 

 その湯船がアホみたいに水面下の魔法により光っている。

  

 まさに青天の霹靂!夜だけど!


 魔法攻撃!?

 いやいやいや、これはもっとヤバいやつ!?


 くそったれ!だが、本を出しててよかった!


 「勝者の権利発動!アマダントゴーレムの『完全障壁』及びルマンダ・アベルの『瞬間移動』を付加!」

 

 完全防御からの逃げの一手。

 しかし、どうやらこの魔法陣は神様製らしく、俺のスキルを完全に無効化してどんどん足から引きずり込んでいく。


 「まじか・・・」

 

 これはまた異世界行きの召還魔法陣なんですかね?


 


 

 

 

 

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