チンポガニ越冬記

@tiepiso

第1話

小僧、船は初めてか?...何、すぐ慣れる。おっと、あまり海を覗くなよ。下ぁ向いてると呑まれちまう。吸い込まれるようだろ。目が切れないだろ。どうするかって?小僧、そのままぐるっと、もっと下へ下へ...回り込むように目線を...そっちを見ると何がある?そう。


キンタマだ。


キンタマを見るとな、正気を取り戻せるんだ。キンタマがあるとな、安心できるんだ。

抗わなけりゃな、そこにキンタマがあるんだ。チンポばっかり見てちゃいけねえ。ちゃんと、キンタマの事も理解ッてやらなきゃ...おっと、小僧。仕事の時間だ。チンポガニだ!!引き揚げるぞ!!

縄ァ巻け!一度に揚げるぞ!


ソイヤッソイヤッソイヤッハァッ!

小僧ッ!チンポガニはなッ!

ソイヤッソイヤッソイヤッハァッ!

キンタマの光に寄せられるんだッ!

ソイヤッソイヤッソイヤッハァッ!

チンポガニは...北の海からはるばると...

ソイヤッソイヤッソイヤッハァッ!

俺たち、海のキンタマに惹かれてやってくるッ!

ソイヤッソイヤッソイヤッハァッ!

ソイヤッソイヤッソイヤッハァッ!...


小僧ッ!キンタマ揺らせ!そうじゃねえ、カウベルじゃねえんだ、情けねえ音出すな!!俺のモンだ、俺のチンポと戦えって、

ヤツのでかいケツをノックするように...こうだッ!!


チンポは 二度泣く 帆を勃てて

鈴口拭えば ますらお 歩き

征く道示せば キンタマ揺れる

ふわり ふわん ぺち ぺちん

OH... B○BY BLUE 不器○な愛で...


−小僧、チンポは、チンポガニは... 戦うためのものじゃない。キンタマもそうだ。愛を語るためにあるんだ。俺たちはチンポで泣き、笑い、キンタマを交わして語るために、生まれてきたんだ...−


──やがて彼は、大きく手を広げ、チンポガニたちを受け容れた。ひときわ大きなチンポガニが、彼と目配せをしたように思える。しばらくののち彼はそれを抱き留め、静かに海へと帰っていった。

──キンタマの鐘が鳴る。長い嵐は止み、割れた雲から優しい陽光が射す。


ああ、蒼い冬も、やがて折り返し。

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