朝目覚めを迎えるとき
バブみ道日丿宮組
お題:経験のない儀式 制限時間:15分
朝目覚めを迎えるとき
自分が知らないものが部屋にある。買った覚えのない下着。趣味としてあわないそれは確かに存在する。
「……」
Tバックとブルマ。
ブルマは小学校時代に履いたことのあるものだが、Tバックは記憶にない。色は赤と黒。2つも置いてある。スケスケだ。こんなもので陰部を隠せるつもりなのだろうか。
必要ないしと、ゴミ袋にっぽい。
ブルマは使いみちはまだあるかもしれない。
夏の暑い日。これを身に着けて、残暑を乗り切るっていう選択肢はあるかもしれないが、やはりゴミ袋行き。
誰が買ったかわからないものを着るつもりはない。至極当然の考えだ。
「……」
それ以外に変わったところはない。
盗聴器や盗撮器は調べた限りではないと思う。
もしこれから先も続くのであれば、引っ越しを検討すべきこと。
でも、でもと……思考を続ける。
僕はどう考えてもウケる身体を持ってない。
低身長の低バスト、低ヒップ。職質されるぐらいの幼い顔立ちを持つ。
そんな人物をストーキング(?)して、プレゼントを用意するような輩はいないだろう。
大学で浮いた話も出てこない。合コンにいっても、ぽつんと孤独を味わうぐらいに不人気。ナイスバディの友だちは当然大人気。
「……はぁ」
「ため息うるさいよ」
声に振り返り、ベッドの上の人物に視線を送る。
大人気の友だちはよく僕の家に泊まる。
「君の肉体のよさに頭痛がしてね」
「そう……今何時?」
「お昼ちょうど」
むくりと彼女は起きて「下着」と、告げる。
いや、知らないし、ってかなんで全裸? 寝る前は服着てたような気がするけど? 確かにそういったことはあったけれど、もしかして記憶違いだろうか?
「こないだタンスの中にしまったはずなんだけど」
ピカーンと脳内に稲妻が走った気がした。
「もしかしてこれ?」
ゴミ袋からTバックを取り出す。
「そうそうそれ。2つあるから、一緒に履いておそろになろうって思ったんだよね」
犯人が見つかった。
投げて渡す。
「仲がいい二人が同じ下着を履いて運気があがる儀式があるんだよね」
聞いたことがない。
「じゃぁ、こっちは?」
またまたゴミ袋から取り出す。
「そっちはコスプレに使おうかなって、ほら、あなた可愛い声するじゃない」
血流が早くなった気がした。
「知らない!」
ブルマも投げつけ、台所に逃げた。
火照った身体はしばらく冷えなかった。
朝目覚めを迎えるとき バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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