第15話 襲来教会

今日も同じように朝、俺が先に起きて身支度を済ませセリアを起こす。セリアが身支度を済ませている間に朝ごはんを準備する、この宿はいわゆる素泊まり的なもので食事は自分たちで用意する、もちろん、朝食サービスもあるんだけど相場より少し高く値段設定されているので朝早く起きたほう、つまり俺が準備するようになった。


「一人暮らしが長いと朝食の準備なんて苦にならないからな」


一人だと食事が疎かになるとよく言うらしいが、こと俺に関してはそんなことはない。俺はもともと勉強はそこまで好きじゃなかった、が医学に関してはハマった。スマホでゲームをするより、生産性の無い会話をダラダラとするよりとにかく勉強が楽しかった、その中で栄養学も少しかじった

リハビリにおいて最近、栄養学が流行っているらしいがそれとは別に興味を持った、なぜか、それはすぐに食事なんて改善できるから、改善するだけで満足感もあるし体にいいことしてるんだなと思うと続けたくなる、で、その流れで料理するようになったってわけだ


「結局、栄養学を勉強していく中でお酒は少量でも体に入れると悪いって知って勉強するのやめたんだけどな」



「賢聖さんおはようございます」

「ああ、おはよ」

「今日はサンドイッチですか」

「まあな、にしても本当に朝弱いな」


目をこすりながら挨拶をするセリア、そしてアホ毛のような寝ぐせ

同い年の女の子がこんな感じたとぐっとくるんだろうな、男ってのは単純で無防備な姿に弱いのかもしれない。ほんと俺が大人でよかったな!


「セリア、寝ぐせついてるぞ」

「え、嘘!?」


カーっと顔が赤くなって、先に髪といてきます、と


「先に食べてるな」


ほどなくしてセリアが降りてきて朝食を食べて二人そろって広場に出かける


いつものように人だからりができていた、が


「なんかいつもと様子が違わないか?」

「そう、ですね、何かあったんでしょうか」


最近は列をみんなで作ってくれていたんだが今日はまばらで俺たちを待つというより、何か別の騒ぎが


「先生、教会の連中が来てます!逃げて!」

「あなたは」


確か初日に一番最初にパフォーマンスに協力してくれた女性だった気がする


「おい!そこの!お前が【ヒール】を私利私欲のために使っている人間か!」


【ヒール】?私利私欲?待てよ、私利私欲に使っているのは教会だろうに、俺は大人だからそんなことは言わないけれど


というか、また前の街と同じような事態になっているのか


「私は【ヒール】は使えませんから人違いですよ」

「いいや!お前は怪我や病気を治しているんだろ!それは【ヒール】のスキルに違いない」

「いえ、私は【ヒール】なんか持ってませんって」

「嘘をつくな!街の連中はみんなお前に直してもらったと言っているぞ」


この話の流れはまずい!【ヒール】であるかどうかという話なら問題なく切り抜けれるけど、治せるか治せないかだとまずいな

そういえば、確か教会にはスキルを見破るというか判明させることができたな、それを使うか


「では、教会で確かめましょう。私が【ヒール】のスキルを持っていないこと照明したら無実ですよね?」


話の流れで行きたくもない教会に無実を晴らしに行くことになった。

これで無実になったらラッキーだよな、教会お墨付きになると大手を振って金稼いで折を見てこの国抜けれるんだしな


「では、教会で確かめましょう。私が【ヒール】のスキルを持っていないこと照明したら無実ですよね?」


「ああ、いいだろう。大金貨5枚で【鑑定】は受けれるが、まさかお前お金持ってないとかないよな?」


は?


「どうしてお金が必要なんだよ!調べたいのはそっちじゃねーかよ」

「おい、話し方が下品になっているぞ?さっきまでの余裕はどうしたんだ?払えないならお前は神の罰を受けてもらうことになる」


言いがかりで金を巻き上げるとか、手口が汚すぎる。周りの街の人間の反応を見ると金額も吹っ掛けられているらしい

セリアから聞いた俺らが稼いだ金貨は大金貨3枚、どうあがいても金貨が足りない


「あります!」

「セリア!?」

「ほう、今何と言った」

「ですから大金貨5枚あります!」


そこには息を切らしながら金貨の入った袋を持っているセリアの姿があった。

セリアは俺が教会のやつと話している間急いで宿まで戻っていた、だけど大金貨5枚なんてないはずなのに


「賢聖さんが稼いだ大金貨3枚と私が持っている大金貨2枚、合わせて5枚位あります」

「セリア、それは」

「ほぉ、いい女を連れているな。私たち教会は公平な存在だ、だから金があるならそれでいい

では、【鑑定】をしに行くぞ。これで【ヒール】だった場合は罰を受けてもらうからな」


何が、公平な存在だよ。


「セリア、ごめん。その金貨セリアものだろ?今回も迷惑をかける」

「私が欲しい言葉は謝罪じゃないですよ?まあ、それは危機を抜けたら受け取るとしますね

それにもう一蓮托生じゃないですか、今更気にしませんよ」

「そっか、じゃあまずはこの危機を抜けないとな」


危機を抜け出すには教会に行く前に一つだけ確認しなきゃならない


「セリア、【鑑定】ってどんな感じなんだ、スキルの名前や能力とか個人の出生とか全部わかるのか?」

「まさか、そんな便利なものではないです。鑑定はそもそも人にはあまり使わないのです、人に使ってわかるのはスキルの名前までで能力は分かりません、でも教会からすれば膨大なスキルのデータがあるのでそれに照らし合わせれば大体は分かりますから名前だけで問題ないんですけどね」

「【鑑定】は本来どんな使われかたするんだ?」

「物の状態を確認したり本物かどうかの見分けに使ったりですね、でも教会がその昔スキルの名前が分かるってことで【ヒール】を独占するために【鑑定】できる人を雇って独占したんですよ」


教会は【ヒール】関係は全部独占して金を稼いでいるのか、それで利益が出ているんだからすごいな

でも、名前だけならなんとでも誤魔化せれるな、うまくできるかな

すげー不安になってきた、がセリアもいるんだ、ここは絶対にしくじれないな

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