もし、俺に人を救えるスキルがあったなら。
山田カドラ
第1話 よくはないけどテンプレな始まりの日
「皆さんは理学療法士という仕事を知っていますか?おそらくこの中で知っているのはごくわずかだと思います。なぜか、それは主に別の呼ばれ方をするからです。よく言われるのがリハビリのスタッフといわれますね。そうです、理学療法士というのはリハビリをすることを仕事にしてる職種なんです。もちろん、リハビリスタッフには理学療法士以外に、作業療法士、言語聴覚士という仕事があります。私は理学療法士なのでその魅力を説明するために今日はきました。」
今日は前途ある高校生に理学療法士という仕事を紹介するために呼ばれた、職業説明会なるものに来ている。
正直、病院で臨床をしたいのだがその病院から、病院の近くに高校があるため付き合いで説明会に行って来いと指示があった。業務として行けといわれたのあれば行かざるおえないのが雇われのみの辛いところだな
はぁ、早く臨床に戻りてーな。評価して治療して考察してそうやって頭回してる時が一番楽しいのがこの仕事してていいところだよな。高校までは勉強面白くなかったけど、医療というか医学は本当に勉強楽しいのがまた、不思議だよな。高校の同級生とか俺に姿見るとビックリするだろうな
「以上で説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。」
さて、用意してたプレゼンも終わったし帰ろうかな・・・なんか揺れてねーか?
地震・・・か、まあ学校なら大丈夫だろ。
おいおい、強くねーか、かなり揺れてるぞ
「皆さん中心に集まって頭を低くしてください」
流石教師、指示も的確だし声も落ち着いているな。それを聞いて学生君たちも落ち着いてるな
不覚にも俺も落ち着いたのは内緒だ
ほんとにたまたま、たまたま気になって上を見た。揺れる照明、かなり古い体育館なのは知ってたけど地震でつぶれることが考えてなかったが
「おいおい、落ちねーだろーな」
そんな悪い予感は見事に的中した。
「あぶねーぞ!」
途端に駆け出した。きっと教師が落ち着かしてくれてなかったら駆け出せなかった、そもそもここにきてなかったら病院内で対応してただろうし
それでも今ここにいて駆け出した、そして下にいた学生を庇う形で照明にぶつかった。
正直、よっぽど当たり所が悪くない限り大丈夫だろうと思ってた、が
反射的に頭を抱えて守った。それがよくなかった頸部に直撃してしまった。
「だ、大丈夫ですか?!」
学生や教師が慌ててるのがすごく遠くに聞こえる。
首に当たるとはな。今日はイレギュラーなことばっかりだ、普段しないことをするから普段なら考えられない結末になるんだ
そうして、深い眠りについた。・・・・・・はずだった
「おいおい、ここはどこだよ」
気が付くとそこは森だった。さっきまで体育館にいたのにだ
「こういうのはお約束で目覚めたら知らない天井だとかいうんじゃないのか」
そうぼやくが当然誰も反応しない。当然誰もいないからな
「そう言えば首を打ったんだったな」
そう思い首をさするが問題ない、ほかにも体に異常がないか動かしてみる。
「神経系に問題はなさそうだな、あとは思考もはっきりしてるし高次脳も問題なさそうだな」
あの角度で打った感じだと死ぬか、よくても頸髄損傷、つまり四肢が動かなくなるかなと思ってたんだが
「というかここどこだ」
やっとここで自分の体意外に注意が向く。まず先に体を気にするのは職業病じゃなくても一般的にも当然な反応だが、周囲までの時間が長い。
「森に捨てられるって、そんな非人道的行為日本じゃありえないよな。俺がよっぽど嫌われててもありえない。意識障害の患者をもし仮に森に捨てるなんて行為がまかり通るなら俺は世紀末にでもならないとありえないな」
そう思って自分の体を見るが皮膚の状態、筋肉の状態を見るも若々しい10代の状態に見える。
前世は衰え知らずとはいえ30代になって久しかったから若い体なんてもう一度手に入るとはな、アンチエイジングも盛んな時代で科学的にも根拠のあるものが多くあったがそれでも老いには勝てないものだったからな
「さて、そろそろこの非現実じみた現実に目を向けないとな」
状況分からないし、今遭難に近いの?なんか、遭難したときは助けを待ってじっとしているのがいいっていうけどあれは前提条件として遭難したことを他者が知っている状況で尚且つ助けに来てくれることが条件にあるから
「つまり、このまま待っていると必然的に死ぬな。とりあえずは動いてみるかー」
無駄に動き回るのも体力使うしな・・・
そんな堂々巡りなことを考えていると声をかけられた。
「あのー」
「ッ!!」
「大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫です。」
「そうですか」
しまった、反射的に答えてしまった。この答えは絶対に日本の、日本人の弊害だ。こんな理学療法士という仕事についててもとっさに出る答えがこれなんだからな
「いえ、やっぱり大丈夫じゃないです。正直困ってます。」
「そう、ですよね。この森に入る人であなたのような人見たことありませんから」
「というと?」
「森を見渡して、というか少し上を見ながらボーっとしてる人はなかなかいませんよ」
「そうですか、驚かないで聞いてください。私なんでここにいるかわからないんです。記憶がなくて、それで立ち尽くしていたんです。」
よし、まあこの言い訳で通るんじゃないかな。ダメだったり少し悲壮感出してみようか、この状況で見捨てる、ほっておくことが選択しにないようにしないと
これが最初で最後のチャンス、ゴリゴリ攻めていく
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