第7-4話 「……--健文くん!?」
麻薙の家の前に立ち、インターホンを押す。
予定よりも十分程度早く到着してしまいインターホンを押すかどうか悩んだが、遅くなるよりは早く到着した方がいいだろうと到着してすぐにインターホンを押すことにした。
以前一度だけ来たことがあるとはいえ、女子の家に来るのは慣れないものだ。
まあこの目付きのせいで男友達の家に行った経験も皆無だけど。
インターホンを押してしばらくしてから玄関の扉が開いた。
「いらっしゃい。十祈ちゃん、まだ支度できてないみたいだから上がっていって」
「は、はいっ⁉︎」
完全に気を緩めていた俺だったが、玄関の扉を開けて出てきたのは麻薙ではなく、麻薙の母親だった。
麻薙の家のインターホンを押せば麻薙以外の家族が出てくる可能性は勿論ある。
麻薙の母親が出てくることだって少し考えれば容易に想像が付いたはずだ。
予想できていれば先程のような情けない声は出さずに済んだのに……。
過ぎたことを悔やんでも仕方が無いので気持ちを切り替えることにして、家の中へと招かれた俺は言われるがまま麻薙の家のリビングへと足を踏み入れた。
そしてリビングに足を踏み入れた俺は驚愕する。
麻薙が下着姿で服を着替えている最中だったのだ。
麻薙は千国とは違い薄紫色の下着を着ている。
なんで女子って男がイメージした色と全く同じ色着てるんだろうな……。
いや、想像なんてしたことないけどな断じてないそんなことするはずがないだろ。
下着の色のことを考えている場合じゃないぞ俺。
とにかくこの状況をどう突破するかを考えなくてはならない。
まだ娘が着替え中だというのにわざわざ母親が俺をこの入れに招き入れたということは、このアクシデントは恐らく麻薙が仕組んだ罠だ!!
これで焦っている俺の姿を見て楽しむつもりだな!?
そうはいかないぞ!!
「おっす。ちょっと早く着いたけどゆっくり準備してくれていいから」
「……--健文くん!?」
「お、おう。健文だけど」
「な、なんで下着姿の私がいるリビングにそんなに平然と入ってきているのかしら」
「いや、さっきインターホン押したら麻薙の母親に案内されたんだけど」
「あら、そうだったのね。……って案内されたんだけど? じゃないわよバカ!! 早く出て行って!!」
「は、はい!?」
俺はリビングから廊下へと追い出されてしまった。
・・・・・・え、え?
なんか俺が知ってる麻薙の反応と全然違うんだけど?
俺が知ってる麻薙なら、「どう? 私の下着姿。綺麗でしょ? どうせなら下着の下も見てみる?」とかなんとか言って俺をおちょくってくるはずなんだが……。
廊下に追い出された俺は、玄関にいた麻薙の母親と目が合った。
麻薙の母親は、てへぺろ!! といった感じで舌を出し、手を前で合わせている。
この人……。
麻薙の母親に呆れながらもとにかく俺は麻薙から合図があるまでリビングの外で待つことにした。
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