僕達はまだ少年だった
@gochimu
第1話 出会い
学校なんて適当に友達作って、程よく勉強して、それなりの成績とるだけの作業を学ぶ場だ。
4月の仙台はまだ寒い。よりによって列の一番端になった僕は体育館の外からくるすきま風でくるぶしが冷えきっていた。
僕の隣に座っていたのはロン毛で派手なヤツだった。前後の女子は既に会話が弾んでいて、僕の周りにはそのロン毛しかいない訳で話しかけるほかはなかった。挙動不審にならないような挨拶と軽い自己紹介をしたのに対して
「よろしく。」
とだけ返してきたこいつを見て、やっぱり気に食わないと思った。
自己紹介をするなんて決めた人間はよっぽどの自信家か馬鹿だろう。
こんなんで覚えられるわけないんだから紙に書いて見ておくで良くないか。こんなたった数十秒の挨拶で第一印象が決まるなんてたまったもんじゃないと僕は心底イライラしていた。
担任は妙に熱い20代の教師で「名前と出身中学校、あと趣味だとつまらないからスマホロック画面が何か言おう」なんて現代人みたいな発言をしてクラスの陽キャがツッコミながらも意気揚々と自己紹介を始めた。
僕の前に座っているロン毛男は頬ずえをつきながらずっと時計を見ていた。こいつは浮くだろうななんてことを考えながら僕は順番を待った。
「朔間 秀斗です。第五中学校から来ました。スマホのロック画面は飼っている猫の写真です。よろしくお願いします。」
まばらな拍手とザワつくことなく次の人が立つのを待ってるクラスメイトの反応を見て僕は安堵した。
「三橋中の熊谷 蒼です。スマホは初期設定のままです。」
そう無愛想な挨拶をする目の前の男を見て僕は一生関わらないだろうと思った。
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