恥ずか死ベリー

 船の旅は何のトラブルもなく終わった。

 俺達がヤマトに着くとすぐに港街の宿屋に案内された。

 ベリーは用意された串団子とイチゴ大福、羊かんから迷わずイチゴ大福を選んで口に入れた。


 ルナは何度もお菓子について質問し、メモを取る。

 まるで評論家だ。



 夕食はごちそうが用意されたがベリーは器用に箸を使って天ぷらや刺身を食べていく。

 ベリーはヤマトに居た事があると言っていたが、長い間住んでいたのかもしれない。

 皆がベリーの箸を見つめる。


「な、何よ?」

「箸の使い方を覚えたいのですわ」

「そう言えばアーサー王国にもディアブロ王国にもヤマト食の店は無いよな」


「そうですわね。デイブックにはありましたわね?」

「あるけど、全部高い。店の数が少なくて金持ちだけが入れる店だったな、いや、ラーメンだけは食べられるけど、ヤマトに比べて値段が高めらしい」


「わたくしは今日箸の使い方をマスターしますわ」

 全員がすぐに箸を使えるようになった。


「旨いんだけど、寿司が無い」

「寿司は有名ですわね」


「ヤマトでは寿司よりそばの方が良く食べられてるわ」

「そばか、城に着いたら皆で食べに行ってみよう」


「ここはヤマトの本土だよな?」

「そうですわね。その他に北島・南東島・南西島をそれぞれの領主が治めていますわ」


 本土が中心にあって、本土から見て北・南西・南東に島がある。


「ウイン、伝えておきたいことがあるんだ」

 エムルが真剣な顔で言った。


「なんだ?」

「この国の南東島と南西島の評判は悪いんだ。今回の目的は名前持ちの討伐だから影響は無いかもしれない。でも、注意は必要だよ」


 名前持ちは違う島に居る。

 だがエムルがそこまで言うのは珍しい。

 注意は必要だろう。


「南東島と南西島には行かないようにしよう」

「それが良いと思いますわ」


 ルナも同意した。

 やはり良くないのか。


「それより、露天風呂があるんだ!混浴はヤマトの文化だよ!一緒に入るんだ!」


「エムルは嘘を言っているわ!混浴は一部だけの習慣よ」

「習慣はあるんだ!やるべきだよ!」


 エムルがしつこかったが俺は断わる。




「ふう、やっとエムルが諦めたか」

 俺は露天風呂に入って落ち着く。


 だがそこにベリーが入ってきた。

 ベリーは首輪以外一切身につけず、湯をかけ体を流して露天風呂い入る。

 その瞬間俺を見て固まる。


「ふぇ!な、なんで居るの!」

「夜中になると混浴になるだろ」

「そ、そうだけど、気配を感じなかったわ」


「キャンプ生活が長くて無意識に気配を消す癖があるんだ。遠くに来て気を張っていたのかもしれない」

「そ、そう言われれば、そうかも」


 嘘だけどな。

 俺はベリーが恥ずかしがる顔を見たくて意図的に気配を消していたのだ。

 何ならベリーが服を脱いでいるのも感知能力で把握していた。

 そしてベリーの体は脳内に保存した。

 ありがとうございます。

 エムルの場合は簡単に一線を越えてこようとするがベリーの場合はその心配もない。

 

 でも、ベリーって裸になっても首輪だけは取らないのか。

 そこにエロを感じる。

 そういえば、ベリーが首輪を取っている姿を見た記憶が無い。

 一度もない。


「じ、じろじろ見ないでよ!恥ずかしいじゃない!わ、私出るわね」

「出ると、全部見えてしまうがいいのか?」

「見なきゃいいでしょ!」


「それは無理な相談だ。ベリーの体は見てしまうだろ。仕方のない事なんだ」

「……やめてよお」


 ベリーは胸を隠すように湯船に浸かる。





【3時間後】


「まだ、上がらないの?」

「俺はここで眠っても平気なくらいだ」

 俺の回復力常時アップの力を舐めないでいただきたい。

 俺は24時間湯船に浸かり続けることも可能!

 そう、可能なのだ!

 

「ベリー、俺が悪かった。上がっていいぞ」

「あっちを向いててよ」

「……まあ、それは良いとして、そろそろ倒れるぞ」

「だからあっちを向いてよ!」


 ベリーの恥ずかしがる姿が可愛くてついついこうやってベリーを見つめ続けてしまう。

 ベリーは恥ずかしいのに馴れないよな。


「出て行くわ」

 ベリーは急に立ち上がって湯船の外に駆け出そうとするが、倒れこんでしまう。

 俺は素早くベリーを抱きかかえる。

 恥かしがらせすぎてしまった。


 俺はベリーをタオルで包んで部屋に戻る。


 



 部屋に戻ると当然エムルがそのプレイの再現について騒ぎ、ルナには厳重な注意を受けた。

 









 

 

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