ルナのスイーツ計画
「さて、戻るか」
「そうだね、苦しみは僕を奴隷にする事で癒すといいよ」
「所でエムル、内政で手伝えることはあるか?まだ本調子じゃないけど、出来る事はやろう」
「今足りないのは大型船だね。その次が住居だよ。所で僕を奴隷にしないのかい?」
「そうか、大型船は何隻必要で住居はどこに作ればいい?」
「25隻欲しいね。それと住居は区画整理をしてチェックを入れた地図を後で用意するよ。奴隷は必要ないのかい?」
「分かった。まずは船を造る。と、言ってもゆっくり作るけどな」
こうしてその日から船を造り、住居を作り、港の整備もした。
◇
必要分の船を造り、住居を作っていると、ルナが難しい顔をしていた。
「ルナ、どうした?」
「この港に飲食店を作ったのですわ。ですがスイーツ店を作る事が出来ませんの」
「今は港を作っている最中だから落ち着くまで難しいかもな」
「それでは遅いのですわ。今の内に中心部の立地にスイーツ店をねじ込みませんと‼今後のスイーツ業界の発展に関わりますわ。特に交易が発達するこの拠点にスイーツ店を出店しないのは大いなる損失ですわ。更にこの国にも利益の5%を孤児院に回すスイーツ孤児院プロジェクトも進めませんと」
ルナのスイーツ熱が熱い。
色々取り入れすぎじゃないか?
どうするか?
「ルナ、スイーツ店の出店がすぐに出来ないなら、飲食店にお菓子も出せる店を出店させることは出来るか?」
「それならできますわ。ですが、それでは喫茶店と変わりません」
「うん、俺のキャンプハウスのスキルで2階建ての店舗を作って1階のみで営業してもらって、途中から店員を独立させて2階にスイーツ店を出店してもらう計画にしたらどうだ?」
「……それでしたら中心部にスイーツ店を出店させることが出来ますわ」
「最初は喫茶店でも、後で店が混んできたら2つに分けてもいいんじゃないか?」
「二段階の計画ですのね。分かりましたわ。それで進めます」
こうして順調に喫茶店がオープンした。
◇
「喫茶店に順調に人が入っていますわ」
「次はお菓子の店か」
「そうですわね。オープンの為の資金の援助をしますわ」
「うまくいきそうで良かった」
「ウインが建物を作ってくれたおかげですわ」
俺は街を散歩する事にした。
順調に港が発展している。
ルナが手掛けている喫茶店に行列が出来ていた。
そういえばここで食事をした事が無い。
行列に並ぶ経験をした事もない。
並んでみるか。
俺は1人並んで店に入った。
「いらっしゃいませ!ウイン様!どうぞ奥の部屋へ」
若い女性の店員が部屋に案内しようとした。
「いや、普通の席で大丈夫だ」
「そうはいきません!お金もいただけませんよ!それと……」
「どうした?」
「相談した意見がありまして」
裏で話がしたいのか。
「分かった、奥の部屋に行こう」
「ありがとうございます」
奥の部屋に入って食事と食後のデザートを頂くがとてもおいしく、満足できる。
流石ルナプロデュース。
「満足していただけましたか?」
「とてもおいしかった」
「良かったです。早速相談したいのは、ルナ様の看板と銅像をお店に飾りたいのです」
「……ルナが怒ると思う」
「大丈夫です。ルナ様はずっとここに居るわけではありません。ルナ様がここを出た瞬間に設置します」
「バレたらまずくないか?」
「バレたら謝ります」
「そればれない限りずっと続けるって事か?」
「その通りです」
いい性格してる。
だが、嫌いじゃない。
俺はその場で銅を取り出して銅像を作成した。
更に木を取り出してルナの似顔絵の看板も作成した。
「こういうのでいいのか?」
「はい!ありがとうございます!料金はおいくらでしょうか?」
「いや、料金はいい。スイーツ店を作って軌道に乗るまで大変だと思う。それまで無駄な支出は出さない方がいい」
「うふふふ、分かりました。後でお返しします」
こうして店を出た。
それから家を建て、最低限の港の整備をし、オガの港は順調に発展した。
俺は目を覚まして1か月オガの港で過ごしたが、魔王から呼び出された。
「ウインの呪いは完全に回復したかい?」
「完全に治った。魔王が呼んでるみたいだし、魔王の所に行こうか」
「そうですわね。もうこの地にスイーツの種は蒔きましたわ」
しっかり蒔かれているぞ。
スイーツ姫の種がな。
「魔王の所に行こうか。所で何の用事か聞いているか?」
「分からないんだ」
「行ってみれば分かるか」
こうして俺達は魔王の元へと向かった。
◇
魔王街に着くと、街の名前がついていた。
ディアブロにようこそと書かれた看板があった。
「王都の名前はディアブロの名前に決まったのか」
「そうみたいだね」
「それよりも、スイーツ店に行ってみたいですわ」
王都の名前よりスイーツか。
流石ルナ。
「そうだな。2カ月もしたら何か変わってるかもしれないよな」
「そうですわ!流行のチェックは欠かせませんわ」
スイーツ店に向かうと、風景が変わっていた。
まずスイーツ店の近くに行くと、『ようこそ!月のスイーツワールドへ』と書かれた看板がかかれており、その横には見覚えのある看板が並ぶ。
俺がオガの港で作った看板だ。
間違いない!
木を焼いてルナの顔がちゃんと見える様な看板にした。
「わたくしの顔……」
ルナが難しい顔をしている。
さらに進むと、行き止まりで、円状に囲うように並んだ6軒の建物すべてがスイーツ店になっていた。
それはいいが、6軒の建物の中央が問題だ。
オガの港で俺が作ったルナの銅像が陣取っていた。
間違いない。
俺が作ったやつ。
ルナの銅像の周りに椅子とテーブルが並び、スイーツを食べられるよう配慮されていた。
「見事な銅像だね。まるでウインが作ったような完璧な出来だよ」
エムル!余計なこと言うな!
「そんな事より、スイーツを買ってこようか。6軒あるんだ。味見だけでも時間がかかるだろう」
「そうだね。しかし看板も見事だよ。一発でルナだと分かるよ。こんな出来の看板を作れるのは相当な腕だね」
「問題は看板でも銅像でもない。スイーツだ。ルナ、買わないのか?」
「買いますわ。ですがウイン、何か隠していますわね?」
ルナは笑顔のままこちらを見ていたが怖いのは気のせいだろうか?
気のせいだろう。
「うーん、隠しているって言うかなんというか。それよりもスイーツを買ってこよう。4人で手分けして全種類買えば早く終わる」
俺はルナから離れてスイーツを全種類買った。
皆で手分けして6店すべてのスイーツを買い、中央のルナの銅像の前に座った。
ルナは全種類1口ずつ食べ比べ、何やらメモを取っていく。
ルナの意識がスイーツに向いた。
一安心か。
俺は何も言わずこの場から離れる。
今ルナの目はスイーツに向いている。
俺は集中しているルナを邪魔したくない。
一足先に魔王の所に行って話を聞いてこよう。
気遣いは大事なのだ。
俺は今までみんなに負担をかけた。
楽しい時間を邪魔するのも悪い。
そう!悪いのだ!
「ウイン!どこに行くのですか?まだ話は終わっていませんわよ」
「あ、あれ?どうした?笑ってるけど顔が怖い」
「うふふふふふふ、笑顔ですわよ。ウイン、何を隠しているか、答えてくれますわね?」
その後俺はルナの魔眼の前に敗北した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます