【バグズ視点】ヘイトとバグズは対峙する
ち、また雑魚がアーサー王国に誘導されたか。
雑魚は放置だ。
俺は首都を落とす。
俺は人間を倒しながら進んだ。
敵はいない。
エースゴブリン全員にグラブの作った武器を持たせた。
だが流石に敵の数が多い。
いや、人間が多ければ繁殖する為の女も多くなる。
悪くはない。
時間をかけてゆっくり侵攻し、確実に女を奪って行けばいい。
そこに1000人ほどの同じ服を着た人間の部隊が迫ってくる。
軍の特殊部隊か?
10体のエースに合図を出す。
雑魚どもには先行させ戦わせる。
乱戦になったタイミングでスキルを起動する。
「キングタイム!」
そしてエースゴブリンと共に部隊を蹂躙していった。
ふん、弱すぎる。
この調子ならこの国を飲み込むのも時間の問題か。
◇
【アオール視点】
アオールは急いでヘイトの屋敷に向かった。
雨が降っており、すでに暗くなっていた。
だがそれどころではない。
我が国の特殊部隊1000名が全滅したのだ。
ヘイトの力に頼るしかない。
ヘイトの屋敷に入ると、ヘイトはステーキを堪能していた。
「夜分に失礼します。デイブックの特殊部隊1000名がゴブリン部隊によって全滅しました。ヘイト様のお力をどうかお見せいただきたいのです」
ヘイトは口に入れたステーキをもぐもぐと咀嚼し続ける。
ステーキを咀嚼しながらこっちをじっと見る。
恐怖で思わず視線を逸らした。
「……」
「……」
「……外は、雨が降っているようだな」
「え?そ、そうですね」
質問の意図が分からない。
何が知りたいのだ?
「ゴブリンのいる場所は?」
「はい!ブルーフォレスト地方にいると情報がありました!」
「遠い……雨か」
ヘイトはステーキをまた口に入れ始めた。
「……」
余計な事を話してはいけない。
「ステーキのおかわりを頼む」
「かしこまりました」
メイドが皿を下げる。
ヘイトは口を拭って話し始めた。
「今日は無理だ」
「その、どういう事でしょう?もしわたくしに出来る事があれば協力いたします」
「そうではない。今日はゆっくりサウナに入ってゆっくり睡眠をとる」
「昨日は寝ていないのですか?」
「そうだな、6時間しか寝ていない。今日は帰れ」
どうすればいい?
ヘイトのやる気を出させるにはどうすればいい?
これでは私の保有している株が暴落する。
何かいい手は無いか?
「帰れと言ったが?」
「は、はい!し、失礼しました!」
殺される。
何か言ったら殺される。
私は、何もできず屋敷を後にした。
く!株が!暴落する!
アオールは雨に打たれた。
◇
【バグズ視点】
「ぐハハハハハ!雑魚が!雑魚、雑魚!雑魚しかいない!」
毎日毎日殺して殺して殺しまくったがみんな雑魚だ。
順調に女を手に入れ、軍を強化出来た。
さらに俺はたくさん殺しに殺して経験値を手に入れた!
次は首都だ!
首都を落とす!
昼になり首都に着くと武装した人間の中に場違いな男が居た。
白いスーツを着ている男。
それなのに剣だけはやたらと立派なものを持っている。
しかも周りから『ヘイト様』と呼ばれているが、こいつはなんだ?
たまにある。
人間は金を持っていたり、両親が偉いと息子が偉くなる。
実に下らん。
雑魚をボスにする意味がどこにある?
だがまあいい。
全部皆殺しだ。
ぐおおおおおおおおおおおお!
ゴブリンを突撃させる。
ヘイトと言ったか?そいつが後ろに下がった。
やはり雑魚か。
順調に乱戦に持ち込んだ。
俺とエースゴブリンが突撃を開始する。
「アイススラッシュ」
ヘイトの言葉と同時に斬撃が俺を襲った。
俺の胸から腹にかけて斜めに斬撃を受け、俺の動きは止まっていた。
ぱっくりと傷が開くが、傷口が凍って血は出ていない。
俺が攻撃を受けた事で部隊の動きが一瞬止まる。
「き、きさま、何だ!?なんなんだ!」
「私はヘイト、お前はバグズ、名前持ちだな?」
「そうではない!そういう事を聞いているのではない」
「バグズ、今すぐ帰り、二度と姿を見せるな。そして南部のうるさい魔物を一掃しろ。それが出来るなら見逃してやる」
「ぎえええええええい!」
ヘイトに向かってエースゴブリンが剣を振り下ろす。
いつの間にかヘイトは横に移動しており、エースゴブリンは地面に倒れ動かなくなった。
「やはりゴブリンは言葉が分からんか?アイススラッシュ!」
ヘイトは2体目のエースゴブリンを瞬殺した。
「力の差が分かったら帰れ」
「めるなよ」
「は?。
「舐めるなあああ!キングタイム!」
戦闘力を2倍にすればあいつに勝てる!
一気に畳みかける。
「ブレイブタイム!」
俺はまた胸から腹を斜めに切られ、×のマークのような傷を負った。
圧倒的な力の差だ!
こいつには勝てない。
しかもこいつ!間違いない。
勇者だ!
「キングタイム、ブレイブタイムと同じ効果のようだな。だが無駄だ」
俺はゴブリンをけしかけて全力で逃げた。
しばらく走ると、恐怖が薄れ怒りがこみ上げる。
「くそ、デイブックにも化け物が居たのか!次は、次は殺してやる」
「ほお、殺すのか?そんな力でどうやって殺す?」
斜め後ろを見ると、俺と並走するようにヘイトが走っていた。
恐怖を感じ剣を振る。
「当たらん」
「ば、化け物がああああ!」
俺は逃げながら叫んだ。
「それはお前だろう?そうそう、私には他にも切り札がある。雑魚のブレイブとは違う。真の勇者の力を見せてやろう。ファイナルスラッシュ」
俺は咄嗟にステップを踏んだが、左腕が斬撃で切り落とされ、前にある建物が轟音と共に崩壊した。
必死で南部に走り、エースゴブリンのみに撤退命令を出した。
血を流しながら南部に走り、それでも止まらず全力で走った。
【ゴブリンの野営地】
住処に逃げ帰るとグラブが出迎える。
「ずいぶん、ひどく、やられたな」
「うるさい!黙れ!」
「あまり、さわぐな。ちりょうする」
グラブが持って来たポーションを奪うように取って飲む。
「もっとよこせ!これでは腕が治らん!」
「いい物がいる。あしたにはめを、さますだろう」
そこには魔物化した元勇者パーティーのマリーが首輪をつけて倒れていた。
「聖女のスキルは使えるのか?」
「かいふくは、できる」
「さくがある、ごぶりんだけではむりだ。ほかのなまえもちと、どうじにこうげきしたい」
「名前持ちか、あの癖のあるやつらを動かせるのか?」
「わからん、だが、うごいてみよう」
「ふ、期待している!」
俺は口角を釣り上げた。
※補足
なぜヘイトは圧倒的な力を持ちながらバグズに止めを刺さなかったのか?
この部分は今後のストーリーを左右する重要な点となります。
なろうに掲載している同作品とストーリーが変わっている点にも注目していただければ幸いです。
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