高校生のあなたを探して

ホレーショ

初恋

31歳の冬、唐突に初恋の相手を思い出していた

20代はあの人の記憶に蓋をして過ごした

あの人ではないけれど、ソウルメイトのような人と結婚して、今もずっと幸せだ


でも、ここでは

わたしの忘れられない人について

記録しておきたい


そして読者の皆さんに伝えておきたい


もしも本当に大切な人がいるなら

まだ間に合うなら

きちんと「愛してる」と伝えてください

そして自分を一番大切にしてください。

絶対に幸せになってください。





胸の奥が熱くて浮くような気がする

もうあの頃には戻れないけど、あの人は私の心の中でずっと笑いかけている

私だけの大切な思い出


あの人は私の右後ろの席にいた

髪は癖毛でストレートアイロンで真っ直ぐな部分とうねってる部分がある

アイロンで焦げているのか茶色っぽく見えた


大柄な体が私の方を向いてニタニタしている

目が元々細いくせによく笑う

声が聞こえてくる すごく特徴的なケラケラ笑い

嫌な気持ちにはならない

ただその笑い方も声もすごく気になってしかたない


『なんで笑ってんの』

『別に、なんでもない』

話題がない2人はいつもこんな感じだった


周りの人と一緒に他愛もない話をしたと思う

私は彼によくいじられて

よく2人で笑っていた


ある時、彼の横顔を見ながら

ドキドキしている自分に気がついた




学校の行事で秩父にBBQをしに行った

肉を焼いたり、野菜を炒めたり手が離せない私の隣に彼はいて、私に焼き肉を食べさせようとする

『ホラ』


私は戸惑いつつ、恥ずかしそうに食べた

恥ずかしすぎてすぐに顔を背ける

彼はニタニタしながらわたしを見ていた


その時、間違いなくあの時

私は彼が愛おしくて堪らなかった

好きだという気持ちが爆発した



もうどんな話をしたのか

メールのやり取りをしたのか私の記憶からごっそり抜け落ちている

でも、ずっとメールのやり取りをしていたと思う


1年生の秋の初め頃

その日もメールをしていた

他愛もないメール

あの人はいつも楽しくて、優しい

本当に突然、なんの前触れもなくそのメールは届いた





『俺とセックスしない??』

今まで一度も性に関する話をしたことがない

高校だからこそ

むしろお互いその話題を避けていた気がする

びっくりしておでこがピリピリする

私は処女だった

はやく返さなきゃ

時間が過ぎる



『いいよ』

今思っても返事に困る。


「したことない」と私。

「おれも」


「明日学校終わったらうちにきて

家すぐ近くだから校門でて左に真っ直ぐ」


「わかった」と返信する


次の日のことはおぼえていない

日中は彼に会わなかった気がする

放課後

校門を出て左に曲がり、まっすぐ進んだ

着かなければいいと思った

行きたくない

会いたい

わたしの頭は混乱していた


だって付き合っていないから

その件は何度もはぐらかされていた

本当にイタイけど

わたしは彼に会いたくて仕方なかった


彼はアパートの5階の踊り場に立っていた

彼の姿を見た瞬間

帰ろうかと本気で考えた


一段一段ゆっくりと階段を上がる

興奮していた。自分の気持ちを形容できない

メールが来る


「、、号室。鍵かかってないから入って」


わたしはドアを押し開け、中にはいる

彼が立っていた

部屋に案内される

何ヶ月も取り替えていないであろうシーツと汗が混じったモワッとした匂いがする


『ちょっと待ってて』

彼ははそう言って部屋を出た


わたしはしばらくその部屋でじっとしていた

身体がふわふわする

彼がコンビニの袋を持って再び姿を現した


袋の中にはお茶とガムと無印のコンドームが入ってた


彼は何も言わず隣に座って、わたしの手をしばらく握った


「しても大丈夫?」とあの人は確認したと思う





ごつごつした大きな手は生温くて

指先がシュっとしている

心臓がとびだしそうになった

ゆっくりと覆いかぶさって顔が近づく


彼の唇しか見られなかった

愛しくてしかたない

世界の誰よりも好きだ


唇がとても濡れていて生温かい味がする

お腹あたりがきゅうっとして溶けそうになる

ほんとに幸せで、雲の上にいるみたいだった


彼が胸を触る

わたしの手が彼のグレーのスラックスに当たる

とても固くなっていた


『えっ?』わたしはとても驚いて声が出る

彼はいつものようにニタニタして

『こうなるの!』と言った


彼がわたしのシャツのボタンを外す

ブラの上から揉む

恥ずかしいやらでわたしは笑っていた

ブラも取って直に触ってくる


下着の中にも指が入ってくる

自分の指しか入れたことがない中に

太い指が2本入ってきて吐息が漏れた


彼は突然スラックスを脱いで

触ってといった

本当に怖くて直視できないけど触ってあげた

今度は横になってフェラしてというから見様見真似で咥えたり、上下に手を動かした


入れていいか聞くので頷く

私が上になって足をM字にして入れようとする

太くて痛くて全然入らない

『無理、、』

顔を真っ赤にして入れた

メリメリ入って行くのを感じる

ゆっくり動く

どこが気持ちいいのかわからない


彼が下からゆっくり突く

私もゆっくり動いた

変な気持ちになってくる

突上げてくるたび奥で変な感じがする

小さく声が出る


2人とも未熟だからイケなかったけど

最後はしばらく寄り添って寝ていた 


『帰るね』と私

『帰るの?』



『うん』


帰り道あそこが痛かった

もう後戻りできないと実感する

好きなのに遠くに感じる

2人の関係が壊れたことに

私はただ黙って目を背けた


外は暗くて、肌寒い

バスのステップを上がるとき

あそこに穴が開いているみたい

心にも穴が開いた気がする

付き合ってないのにHした

だけど私は彼にもっと大事にされたかった

もっとそばにいたかった

とても寂しい



32歳のわたしは今もあなたを想ってる

忘れることなんかできない


次の日は学校だった

そわそわする

いつクラスのドアから入ってくるか怖かった

立ち上がって、後ろのドアへ向う


ちょうどあの人が入ってきた


お互い目を丸くして、横目で見て

なにも言わずにすれ違う


うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


って頭の中で叫んだ



そこからの記憶は朧気


他に仲良く付き合った男子もいたけど、

あまり思い出さない

後味は悪かったけど、いろいろデートして、楽しかったことは覚えてる


そこそこ仲の良い人たちも周りにいて

本当に退屈な高校生活を送っていた


その間に2度















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

高校生のあなたを探して ホレーショ @moggyyy

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ