第07話 集計のイリュージョン

 投票所に出向いた有権者の投票は、カード優勢で幕を開けた。陣営の安堵は直ちに打ち砕かれた。カードに投票された票は、機械に読み取れない無効票とされ、新たに選挙人によってバイト票として書き換えられていた。

 中酷強酸党の意志を引き継いで直接手を下すディープステ-トは、カードの勢いに焦りを隠せないでいた。民主党の選挙監視員は、体裁のいい口実を用いて共和党の監視員を追い出し、偽造した票を取り出し、何度も繰り返し集計機に掛けた。その結果、集計所に誰もいないはずの時間帯に驚くほどのバイト票が加算されていった。後にバイトジャンプと言われるイリュージョンが起きていた。

 カード陣営や支援者が騒ぐのを尻目に、メディアは言いがかりや記録漏れを補ったものと理由を付け、受け流した。結果として有権者数を上回る投票数となった事実も調査もされず全てが有効だと処理されていった。

 メディアは、数字こそ全て、とバイト有利を報道。正義を貫く者の行動は、陰謀論として埋没されていく。世界で起こっている事実は、極僅かなマスコミ報道とネットの世界にしか存在しなかった。


 ペンシルベニア州政府委員会は集計に疑問を抱き、レオン投票システムに関する公聴会を開く予定だったが土壇場でレオン側は、国家反逆罪の可能性がある事実を悟り、公聴会から撤退した。 これを受け州議会は、完全に不正を認め、州議会が選挙人を決めるという方向に展開させた。


 レオンの社長はマスゴミのインタビューで電子投票システムは、公正を期するためネットへの接続は去れていない。増してや中酷企業とは全く関係のないものだと答えていた。集計結果は海外のネットと繋がり、確認された事実がFBIが確認している報告が既に政府に上がっている状況下でだ。これでは公聴会に出られるはずがない。出れば、事情聴取を建前に身柄を拘束されかねない状態だった。


 アリゾナ州の州議会でも米大統領選の不正選挙をめぐる公聴会が開かれた。アリゾナ州の公聴会に証人として出席した退役軍人のドロン大佐は、レオンの投票集計機が選挙当日にインターネットに接続されており、データをドイツのフランクフルトのサーバに転送していたことを証言した。ドロン大佐は30年にわたって軍で情報戦を扱ってきたサイバーセキュリティーの専門家であり、今回の選挙で不正が行われないかを以前から監視していたという。 正規の選挙では民主党は勝てない。票が何らかの方法で操作されるとの懸念があってのことだった。スパイ戦の結果だ。


 レオンをネットで追跡すると中酷企業が75%を出資する会社。無関係とされていたフォーウェアの関係も明らかになった。さらに基本的なシステムはオンラインカジノで用いられているものだとも判明した。勝率、票の計算はお手の元。オッズを決めるように常にバイトが0.3%はリードするように組み込まれていた。それを明らかにしたのが民主党のバイト大統領候補だった。 

 バイトは「最大規模の不正投票組織を作った」と嘯く。レオンにより常にバイトのリードが約束されている。リードの差が集計で追いつかない場合、有権者の票をカードの票は無効にし、その分をバイトに改竄し、票数を伸ばす。それでも追いつかない場合は、中酷から送られてくる偽投票用紙を用いて成りすまし投票を行うなど、カードが幾らリードしても嘲笑うようにそれを上回る投票を獲得できる組織的不正の手口がその発言の裏付けにあった。

 バイト自身が発した動画についてワシントン・ポストやFACTCHEK.ORGはカード側の捏造だと躍起になって苦しい言い訳を掲載。問題の動画は2020年10月24日に配信された「Pod Save America」という番組での発言だと。バイト側は『voter fraud organization』(不正選挙組織)を作った。特に特定し辛い有色人種の操作だ。これに対しカード側は、本人確認の上の票に重きを置く『voter fraud organization』を作った。これによって、レオンによる不正があっても十分な人たちが票を投じればシステムを圧倒できると訴えた。これに対し、マスゴミやメディアは不平等だ、人種差別だと一部を誇張し、カードの策が如何に愚策かを報じた。

 投票を本人確認されない有権者が行う。これを正当とすれば、偽札も有効だとするのと同じことに中酷強酸党の資本・考えに洗脳されたしもべには最早、判断も出来なくなっていた。これが、中酷強酸党の洗脳戦略の恐怖だ。その根底には、大学生の考え・思考を浸蝕するための孔子学院と中酷学生学者連合会の大学への食い込みがあった。

 民主党は、カード支持者が多い選挙区には、システムエラーに導く蛍光ペンでの投票をさせ、無効になった票数をバイトの票として共和党立会人や監査人のいない時間帯に集計機を操作して加算していた。それが、バイトジャンプと呼ばれるあり得ない現象に繋がった。教育とモラルの低さが導き出した現象だった。

 あり得ない現実の現象には目も触れず、カード陣営の言いがかりだとマスメディアの形振り叶わない言い訳は、国民を馬鹿にした行為であり、それを鵜呑みにする国民がその国を腐敗させているのに他ならなかった。


 これは、対岸の火事ではない。


 日本でも似たようなことが起きていた。総裁選だ。広く国民の意見を取り込む観点から、国政選挙に地方毎の票が加味される。地方の勢力図は金で支配されやすい。その地域のマスゴミは中酷強酸党の資金力に浸蝕されていた。国政を担う国会議員票を多く集めた候補者が、地元しか見られない党員・党友会と言う地方票を得られず敗退する現象が起きている。井の中の蛙大海を知らず。警視庁と所轄。この関係が国政には必須だ。

 地方は、痴呆。国政の考えより、地元の話題が優先する。その話題を操作するのが地域のマスゴミだ。そのマスゴミは長年に渡り、地域民を洗脳し続けた結果だった。投票機を使わなくても洗脳によって票は操作できる悪しき例を作り出していた。


 そもそもレオン集計システムは、米国を敵対視するベネズエラや中酷強酸党と関係があった。レオンの親会社はステップ・ロード・キャピタルだ。この会社は選挙の一か月前に、中酷の政府機関や大規模中央企業と非常に密接な関係を持つ前身は北京証券であるUBS証券から四億ドルの資金を受け取っていた。中酷資本に毒されるビックテックや前大統領のオーマン、ヒラリンとの関係も深い。


 カード陣営が動きを活発化させる程に暗線が明らかになり、CIA長官やオーマン逮捕の噂がまことしやかに流れ始めた。現実に軍用機が特定の空域上空を数機に渡って、奇妙な往復を繰り返していることが民間でも確認できる飛行データからも明らかだった。これは、地上の特定の場所からの奪還や捜査妨害を防ぐものだ、というものだった。

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