18話楓と玲



「玲!今日放課後なんか予定ある?」

『ん~ん!ないよ。どしたの?』

「実は駅前に猫カフェが出来たみたいなんだけど、一人で行くの少しハードル高いからついてきてほしいなーって」

『いいよ!いこいこ!』

そう言って玲は携帯で楓と遊ぶ趣旨のメッセージを送った。


「玲今日遅いのか…」

『なんだ?お前彼女いたっけ?』

「あー、まぁそんなところだ。それよりお前最近顔色良いし、ラブコール来るの最近見てないけど…」

『飽きた』

「飽きた?いいよなモテると選好み出来て」

『そんな事ねぇよ』

「じゃあみんな連絡してないってこと?」

『まあそうなるな』

「午後暇ならどっか遊びに行こうぜ」

『彼女は?』

「予定出来たって言ってた」

『別れる前兆かもな』

「変なこと言うなよ…ったく。行くのか?」

『いや、今日は予定がちょっと入ってて無理だわ』

「女じゃないってことは、バイトか何かか?」

『んー、まあそういうことにしておいてくれ』

「何それ!めっちゃ意味深だな…話せるときになったら話してくれよー」

『分かった。いつになるか知らんけど』

「おい!」


俺は、最近あいつがスマホを見て表情を緩めているところを何度も見ていた。本人はバレていないと思っているようだが、きっと思い人でもできたのだろう、俺に見せてくれたことのないような優しい目をしていた。きっと恋は盲目なのだろう。確証を得るか、あいつから言ってくれるまで見守ることにしよう。


「今日の講義はここまで。次回この講義のレポート提出してもらうからやってくるように」


突然のレポートの課題が出て、教室には不満の声が広がる。

幸いにもこの授業は今週は無いので玲たちは、当初の予定どうりに駅前の猫カフェへと向かう。


「どんな猫ちゃんがいるんだろー!」

『猫カフェかー行ったことないから楽しみ!』

「そうでしょ!」


猫カフェに着くと店員が来て手指の消毒と猫カフェを利用する際の諸注意を教えてくれた。

『やっぱり猫もびっくりしちゃうからフラッシュ今のうちに消しとこ』

料金は一時間千円で、+ワンオーダー制らしく、私と楓はキャラメルラテアートを頼んだ。

机の上にはメニュー表と、カフェにいる猫たちの名前が書かれた紙があった。

猫が誤って飲み込まないようにラミネート加工がされてあった。

少しするとラテが届いた。ラテには猫と下にその子の名前が書かれていた。

「『可愛い!』」

二人とも違う子が書かれていた。

早速猫たちの書かれた紙を見て、その子を探すことにした。

「私は…ペルシャ猫のるーちゃん!」

『私はねぇ…マンチカンのらみぃちゃんだ!』

「どこにいるのかなぁ」

「あ!そこにいた!」

ペルシャ猫こと、るーちゃんはキャットタワーの中に寝転んでいた。

「玲!みてみて!あそこのキャットタワーにるーちゃんがいる!」

『ホントだ!らみぃちゃんどこだろう…』

今日は平日で他の客は少なかった。しかし、お目当てのマンチカンのらみぃちゃんは他の客のところでくつろいでいた。

『あーあ…他のお客さんのとこにいる』

「るーちゃんのとこに行ってみようよ!」

『うん!』

「ミャ―オ」

「るーちゃんの鳴き声可愛い!」

私たちの存在に気付いたのか、寝転がるのに飽きたのか、彼女はキャットタワーから飛び降りた。

るーちゃんは御高く留まった態度で歩いていた。私と楓は借りた猫じゃらしの様なおもちゃを彼女の前で揺らした。すると彼女は動くものに目がないのか、「ミャーミャー」と鳴きながらおもちゃを追いかけていた。

「ど、どうしよう…可愛すぎるっ…」

しばらく遊ぶと、この子は玲の膝元に乗って来た。玲はるーちゃんの座り心地がいい様にと胡坐をかいた。

「ミャー」

こうして一時間ほど猫と戯れた。

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