第壱章─私達の秘密攻防戦

«第壱譚»「私へのプレゼント」

それは、とある羽純からのメールによる

突然私に降り掛かった…不幸とも言えない、プレゼントだった。


「なぁ、楽希」


「ん?どしたんよ」


「ちょっと相談乗ってくんねぇか?」


「あぁ、良いけど…まさかモテすぎて困るとか言うんじゃないよね?」


「…それに類似する。」


「は?類似って…つまりどういう事?」


「詳細は家で話す」


「うぃー」


…あいつから相談なんて滅多にないぞ…


そう思いながらもスマホを制服の内ポケットに入れ教室へと急ぐ。


…なんか怖いな


まぁどうせ「俺の取り巻きが〜〜〜」とかいう相談だろ。


…この時まではそう思っていた。


相談内容が私に関わる事だとは思っていなかったから。




───放課後───


「たっでーま」


「おっけーり。今日は珍しくお前の方が遅かったな‪w」


「るっせ。居残りで先生の手伝わされてたの!」


「どんまい。俺の手伝いしなかった罰だな。」


「るさい」


「あ、そうだ相談」


「あぁ、そうだった。どういう内容なのよ」


「お前に関わる事」


え?

なんで?

だって「モテすぎて困る」に類似してることでしょ…?


「what?」


「ははっ、まぁそういう反応になるよな」


お前へのラブレターを預かってる、と羽純は続けた。


羽純が指さした方向には数え切れないぐらいの手紙&薔薇があった。


「これ、全部お前宛。」


「…は?」


どういう事なのか全く分からない


どうして私宛にこんなに手紙&薔薇が?


というより抑々私こんなもの貰う理由無くね?


そんな思考が頭の中をぐるぐる駆け回る。


「まぁまぁ、取り敢えず落ち着け。

俺だってお前宛にこんな来るとは思わんよ?」


そらそうだ。

普通こんだけの量の手紙は羽純宛だろ


「ま、今日が何の日か把握してねぇお前が悪いって事で。」


「…今日?」


「本当に何も覚えてねぇんだな。

今日、6月15日。お前の誕生日だろ?」


…あ。


あぁぁぁぁあ

そういえばそうだった!

何か忘れてると思ったら…


でも待てよ

誕生日だからといってラブレターを書く必要もない気が…


「…はぁ。

取り敢えずまぁこれ全部お前宛って事で全部目通しておけよ。」


あとな、男ってもんは記念日とかに告りゃOKされると思ってんだよ。

と羽純は付け足した。


…成程。

いやそうでも無い気がするが…まぁいいや。


…取り敢えず、これ全部目通すのか

中々に骨が折れそう…‪w


まぁ、嬉しいしいいや。


「あ、そういや」


ほい、と羽純から渡されたものは

結構高めのヘッドホンだった


「え」


「これ、お前欲しがってたろ?

「通話するのにマイクが無いと不便」とか言ってたし」


…聞こえてたのか。


てかこれ多分3万は行くよな…?


「待って、こんな高いもの受け取れない」


「幼馴染の初任給でも?」


「え」


普通そういうのって親に対して買うものじゃ…?


てかバイトの初任給でそんな貰えるのか…?


「貯金もしてたし、

普段のお礼としても受け取ってくれたらありがてぇな。」


「は、はぁ…

…まぁ、そういうんなら有難く…」


それにしてもこれ絶対壊せねぇじゃん

責任重大…()


「んじゃ、これからも宜しく」


「あぁ、宜しく」


まぁ、こういう日もあってもいいかもな。




その後、家族からもヘッドホンを貰い

少し気まずくなったのはまた別の話。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君と僕、二人三脚。 ( ᐖ ) @ai_gairi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ