第2話 私のお願い

   

 ハッシュタグとかツイートといった言葉が出てきたので、彼女たちが話題にしていたのは、SNS関連の話なのだろう。

 私も一応、SNSのアカウントは持っている。

 私の趣味は小説執筆であり、プロ作家ではなく素人なので、作品発表の場は小説投稿サイト。放っておいたら無数の小説の中に埋もれてしまうから、少しでも宣伝するために「投稿しました。読んでください」とツイートする……。

 そのためのSNSだった。


 今までは本当に、投稿報告だけという使い方だったが……。ふと彼女たちの話が気になって、『#サンタさんへのお願いを書こう』というハッシュタグを調べてみた。

 なるほど、みんな様々な願いをツイートしている。サンタなんているわけないので冗談と割り切って、絶対に手に入らないものや、漠然としたものを挙げている者が多かった。

 ハスキーボイスの女の子は「ツイートを見た誰かがプレゼントしてくれるのを期待して」と言っていたけれど、電化製品やゲーム機、高価なアクセサリーなど、現実的な物品をツイートしている者は、むしろ少ないようだ。


 どうせ若い人たちの遊びだろうとは思ったが、せっかくなので、私も参加してみることにした。

 漠然とした願いであると同時に、ツイートを見た者から本当に救いの手が差し伸べられる可能性もあるような、少し具体的な書き方で……。

 次のようにツイートしておいたのだ。



 #サンタさんへのお願いを書こう

 私の小説を書籍化して、私をプロの小説家にしてください。

 具体的には、書籍化してくださる編集者・出版社との出会いをください。

   

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