3. 夕暮れ時の着陸
島に着いたのは、夕暮れ時だった。私の好きな時間帯だ。地平線からうっすらと、オレンジがかった空が広がり始めている。そろそろ暗くなっていくのだと思った。私の住むところは、10月は日の入りが早くなる時期で、同じ時間帯ははもう暗い。旅先とのそういった違いから、あぁ、今自分は旅に来ているのだと改めて実感する。そして、島の暖かい気温も私を高揚させた。着いて早々に、フード付きのパーカからお気に入りの半袖に着替えた。
私の心は、すでに「日常」から「非日常」に切り替わっていた。
島の気温と雰囲気にいつまでも浸っていたかったが、そんな暇はなかった。辺りは暗くなり始めていて、まずゲストハウスに行くという目的がある。ノープランの旅だからこそ、少し焦った。とりあえず必死にネットで調べ、ひと気のあるバス停を見つけ出し、それに乗った。
バスを乗っている間は、これから3泊全て私の自由の時間だという高揚感と、実際に何をしようかという不安が入り混じっていた。ふとバスの車窓に目をやると、馴染みのない建物や植物が目の前を流れていく。少し海外にいる気分になって、遠い南の島を旅先に選んで良かったと思った。辺りがどんどん暗くなっていくことに不安を覚え、ちゃんとゲストハウスに着くかなとドキドキしていた。
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