カタコイ
紫泉 翠
前半
「あーあ、今日も話せなかったなぁ…」
私:
私には高校に入学してから…いや、中学にいた時から恋焦がれている先輩がいる。
彼の名前は
彼は、何故か例年図書委員をしており、書記として生徒委員会にも所属している。彼自身はあまり人と好んで関わらないようにしているようだが、彼の幼馴染であり、サッカー部のエースによく絡まれるので結構知名度がある。
そのうえ、色白でイケメン!そんなことで、プロポーズをたいぶもらっているはずなのであるが、全員『気になっている人がいるからごめん。』と言って断られるらしい。これは、私のクラスメイトが仲良い子に愚痴っちていたの盗み聞きして手に入れたものだけど。うーん、誰のことが気になっているのかなぁ?
ボーとしているうちに周りの空が赤く色づき始めていた。遠くに、彼のような
隣に女性がいた。また取られた....。そんな感情が渦巻く。
『何で話しかけられないのよ!』もう自信がない自分に嫌気がさしてきた。
確かに先輩のこと好きだよ?だけどそれは....それは.........
なんだろ。なんか気持ちが整理できずにいる。
それはいったんおいとこ。そうじゃないと、だんだん闇に堕ちていきそうで怖い。
明日こそ!明日こそ話してみよう。
何度もかけて来たけど心を維持する魔法を、今宵もこの綺麗な星空に、その下で架ける。
そういえば、ここら辺街自体も色鮮やかになっているし、リア充のカップルがうじゃうじゃいるし.........。おっと、口が滑っちゃった。
まぁ、ともかく人多いし!なんかあるの?
「ねぇ!今年はイルミどこの行くの?」
「うーん秘密。そういえばプレゼント何が欲しい?」
目の前にいた人たちが甘い会話してるんですが、私に関係はない…
うん?イルミネーション?プレゼント?ああ、
まぁ、非リア充でないし、リア充でもなく、お相手がいない今年もクリぼっちの私には関係ないけど。先輩と話せる勇気が私に有れば違うのかな。
神様、何か近づけるようにしてくれるキーを私にいただけませんか?
なんて頼んでみたって何にもならないだろうけど。
―チャリンー
横で何か金属製のものが落ちる音がした。
足元に鍵が落ちてた.........
は?何で?
誰かが単に落としていっただけでしょ。気にしない気にしない。気にしたら負け…
やっぱ気になるー!
誰が落としたのよ?
「あれ?鍵?どこ行った?」と後ろから声が…
嫌なほど聞き覚えがありますね。
この声を追っかけて行ったといっても過言じゃないけど.........
って噓⁉
バッと後ろを振り返る。
キョロキョロ周りを確認している人は、どうしようと見間違いそうもないほどイケメンで、何度も視界に入ったら無意識に避けてきてしまってきた人:大西風先輩で間違いなかった。
周りに人はおらず、先輩一人だった。
落とし物を渡すだけだし、もし人がいても気にしなくてもいいよね。
よし!頑張れ私!
「あの.........」
「はい?何でしょうか?」こっち向くなぁ!心臓止まるから~!?
「えっと、この鍵落とされませんでしたか?」
「ああ!これ僕の!ありがとうね!」と言われたので去ろうと思っていたのに…。
視線が痛いです…。何で?もう終わったでしょ?
「ねぇ…君もしかして
「ええと、まあ。そうですが?それが何か?」
火鴉壺高校とは私たちが通っている学校ね。
「何年何組?名前は?」と質問されても…
「一年C組の安洛心寧ですけど.........」一応答えとくけど
「そっかありがと!鍵も、名前も教えてくれて!」
と朗らかに笑って行かれたわ。
そんなに風に笑われてしまったらもっと好きになるやん?
なに女子を笑って落としてるの?
そんなこと思っていながら本を読んでいたんだけど、周りがうるさいなぁ。
何なのよ!しかも殆どが黄色い悲鳴だし。ほんとに何なのよ。
黄色い…悲鳴?まさか…。嫌な予感が。こういう予感は当たるんだよね。
ーガラッー
「安洛心寧って子いる?」
クラスメートの...いや、ここにいる全員の注目を浴びてしまった。もういやぁー。
何なんだ!多分この前のお礼とか?しかないか。
まぁ、一応図書委員やってるけど知られてないと思うし.........
それで?なに?
「この前はどうもありがとう!おかげで助かったよ。それでさ、お礼がしたいんだけど。24日の予定って空いている?」
「空いてますけど?」
なんか周りが笑っている人と驚愕の表情をたたえる人に分かれているんだけど?なんか笑うポイントある?
「そうか。じゃあちょうど良かった!その日僕に付き合ってくれない?」
「はぁい、分かりました。」
「うん、これ僕の連絡先ね。それじゃあ。」
また颯爽と行かれたけど。何で私が睨まれなきゃいけぬのだ、追っかけの人に?
「ちょっとー!いいなぁ。ココニャンだけ先輩とクリスマスデートって!しかもお礼で?なにしたの?」とクラスメートに早々に捕まった。
「別に何も?落としてた鍵を拾っただけだけど?」
「なるほどー。でも、ココニャン前から先輩のこと狙ってたよね?チャンスだよ!クリスマスにデートして結ばれる、運命的だね!」
「そうだねー。って、クリスマス?デート?」
あああー、そうだ!24は聖夜じゃん!
しかも、もしかして?いや確実で二人きり?もうどうしたらいいのよ!
話せたのはいいのに、何でここに行っちゃうのよ!
もう、過去の自分の行動を悔やむわー。一瞬で心が白い雪になって舞って行って溶けていってしまった...
しゃあない、覚悟決めよう。どうにでもなれ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます