第11話:探偵、ハイになる(エピローグ)

11-①

 朝五時から並んだ『ハイニナルクエスト』の展示は、せっかく『アッシュ』の完璧なコスプレまでしてウキウキと参戦したにも関わらず、度重なる怪盗の横槍によって結局中止となってしまった。


 その後、事情聴取ということで警察の浅型警部から昨日の件について話を伺ったのだが…

 どうやらはじめに現れた者が模倣犯の闇夜の狩人で、私が闇夜の狩人だと思っていたものが本物の怪盗クロウと呼ばれるものだったらしい。


 そして、実際に狙われた『ブルーダイヤモンド』は、『アルコバレーノ』の宝飾の一部として隠されていたということだった。


 今回、私が『アルコバレーノ』を守りきったことで、怪盗クロウが初めてターゲットを盗むことが出来なかったらしく、浅型警部には非常に感謝された。


 だが、私にとってはそんなことはどうでもよく…昨日のイベントが途中で中断されてしまったせいで、最も楽しみにしていた写真撮影もなくなり、長時間の事情聴取で疲労もピークに達していた。その結果、私は今、生きた抜け殻のようになって、事務所のソファーで燃え尽きていた。


 プルルルル…

 突如、事務所の電話が鳴る。今の私には電話をとることすら面倒くさいのだが、仕方なく受話器を取った。


「もしもし…明智探偵事務所ですが」

「あっ、もしもし。我が輩、大丸屋オーナーの大丸と申しますが…昨日はあなたの名推理によって我が家の家宝を守っていただけたとのこと!あなたには非常に感謝しております!」


「いえいえ、どういたしまして…別に大したことはしておりませんよ…」


 あまり上がらないテンションの中、燃え尽きた私が、大丸氏からの御礼の言葉を適当に聞き流していると…


「つきましては、あなたに御礼をさせていただきたく!浅型警部にお伺いしたところ、あなたは『ハイニナルクエスト』の大ファンだとか!そこで、もともと展示していた『アルコバレーノ』を是非ともプレゼントさせていただければ!」


「本当ですか!!?ありがとうございます!!!次狙われても私に任せてください!!!」

 私のテンションはハイになった!


Fin.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る