この世界に生きる君の物語

みさか/UN

第1話 この世界に生きる君

1941年、俗に言う第二次世界大戦の真っ只中


東京大空襲が起こる4年前、


現代の渋谷の辺りに一人の少女が住んでいた。


そこには赤田一実という名前のかわいい少女が住んでいた。


4年後ここが焼野原になるとも知らずに今を生きている。


一実は両親兄弟が全員死んでいて悲しみをいまだに乗り越えれずに


嘆いていた。その横にいる誰からも見えていない黒ずくめの男が


立っている。その男は死神であろう。その少女を見つめている。


それは獲物を見るような目で、また守るように立っている姿勢で、


少女は15分ほど泣いた後家族と一緒に住んでいた家に戻っていった。


死神はどこかに消えていた。少女が家に戻ると空襲警報がなった。


少女はいそいそと防空壕に潜った。


家族との思い出が根付く場所に....。


このままでは4年も立たぬうちに少女は死んでしまう。


死神はそう思ったのか空襲の雨の中少女を残して去っていった。


何かを探しに...。


何故こうもして少女についているのだろう。


その真相もわからず、いや知るわけもなく、


少女は防空壕で眠った。安らかな眠りへ、


3年後、少女は叔父叔母のもとに引き取られ、暮らしていた。


死神は他のもののところへ行ってる最中に引き取られたので、


その少女がどこに言ったのかわからずその周辺をさまよっていた。


死神に見つかることなく約1年が過ぎた。


死神は少女の両親の墓の前で待っていた。少女が来ると信じて...。


その東京大空襲の前日、少女は家族の命日のため叔父と叔母に送ってもらい、


墓の前の家で眠った。死神はその姿を見てホッとしていた。


それが自身の仕事のためなのか、少女の生存を確認したからか。


それは死神自身でもわからない。


東京大空襲の日、死神は少女につきっきりで同じ道を歩いていた。


そして地獄の始まりの時、空襲警報がけたたましく鳴り響いた。


あちこちでアメリカ軍の飛行機が飛んでいて、爆弾や焼夷弾を撒き散らしている。


少女をいや東京都民を殺戮するために飛んでいた。


少女のもとにも焼夷弾が撒き散らされて、家も燃え尽きた。


少女は防空壕の中で、ひっそりとうずくまっていた。


しかし、少女は見た。いや見るしかなかった。思い出が詰まる家が焼け落ちるのを


少女が最後に見たのは燃えている墓だった。その瞬間少女は焼夷弾が放った火に


焼けつくされた。死神はもの悲しそうにその最後を見届けていた。


そして1945年(昭和20年)3月9日少女は死んだ。死神の見届ける中で...


死神はその少女の霊を引っ張り、冥界へ連れて行った。


とても残念そうに...そして死神は物陰でひっそりと泣いていた。


実の姉の死ぬ姿を見て...。そう死神の正体は先に死んでしまった少女の弟である。


だが、もう悲しくはない。姉が死ぬことはもうないからだ。


今では姉弟揃って死神として魂を運んでいる。それはとても幸せそうに...。






______________________________________

どうもみさか屋の友人です。


今回は戦争の読み切りを書きました。


最後はちょっとバッドエンドでしたが、姉弟ともに死神になるエンドでした


幸せそうだから作者は満足しています。


と同時に泣きかけました。書いている本人がですよ!?


ではまたの機会に。



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この世界に生きる君の物語 みさか/UN @misakaya

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