底辺スキル冒険者は最強!?

紅 蓮也

第1話 スキル鑑定

 この世界では、十歳になると、王族も貴族も平民もだれもが神殿で、神官に神から授けられたスキルを鑑定してもらう。


 スキルには、強力なスキルもあれば、スキルがなくても、誰でも出来てしまうような誰が役に立たないスキルもある。


 十歳になったアルスは、先ほど神殿で神官に鑑定してもらった。


「君が授かったスキルは、威圧だ。」


『ハァハハ~ワハハハ~』


 神官が、アルスにスキルを告げた瞬間、神殿内に皆の笑い声がこだました。


「……」


 何も言えないアルスは、神殿を飛び出した。


 神殿を飛び出し、家に帰ったアルスは、両親から授かったスキルは、何だったのか聞かれた。


「クッ!!……」


「「ヒィ……」」


 アルスは、両親に何も答えず、睨み付けてそのまま自分の部屋に行き、布団にくるまり寝た。


 つい悲鳴をあげてしまった両親が悪いわけではない。

 両親は、どんなスキルを授かったとしても、アルスを大切にするつもりだった。


 睨まれ、何も答えず部屋に行ってしまったということは、授かったスキルは、よくなかったのだと察した。


 翌日、アルスが街に行くと、街中にアルスのスキルの事が知れ渡っており、コソコソ話す者がいた。


「クッ!!」


「ヒィ!!」


 噂をしている者を片っ端から睨み付けて、その場をアルスは去っていく。


 自分の話をしているだろう者に片っ端から睨んで去っていくので、そこかしこで一瞬、悲鳴をあげる者だらけだった。


「おい、威圧なんて、底辺スキルを授かった。アルスくん」


 しばらく、歩いているとアルスをバカにしたように絡んできた者たちが現れた。


「……」


「何か言ってみろよ。底辺スキルのアルスくん」


 絡んできたのは、普段からアルスに絡んでくる三人組だった。


 アルスが底辺スキルだとわかったので、バカにしに来たのだ。


「父親が剣神スキル、母親が魔神スキルなのにその子供は、底辺の威圧スキルなんてな。

 親に見放されて、家追い出されたのかな? クックック」


「きっと、そうだぜ。俺が親ならそうしているもん。アハハハ」


「もし、俺が底辺スキルだったら自殺しているぜ。よくアルスくんは生きていられるな。アハハハ」


 親がすごいスキルだからと言って、子供がすごいスキルを授かるとは限らない。


 王族、貴族、平民、皆スキルを授かるが、王族や貴族は、いいスキルを授かる事が多い傾向があるだけで、基本的に身分によって、授かるスキルの良し悪しはない。


 いいスキルを授かって、功績を残したり、取り立てられたりして、平民が叙爵により貴族になったり、貴族も陞爵により爵位が一つ上がったりすることがあるだけである。


 いくらいいスキルを授かっても取り立てられたり、功績がなければ、叙爵も陞爵もされない。


 あとは、授かったスキル良ければ、就職に有利だったり、厚待遇だったり、普通は、つけない職につけるとかがあるくらいである。


 授かったスキルに胡座をかいて、仕事を適当にやっていれば勿論、職を失うことだってある。


「クッ!!」


「グハァ!!」


 アルスが、三人を睨み付けると、三人は同時に意識を失い倒れた。


 倒れた三人など気にせず、アルスはその場を立ち去った。






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