第二章【魔導学校の女教師】

第12話 回想

わたし、素敵なお嫁さんになるの。


私が子供だった頃の将来の夢だ。


幼い頃から今と変わらず美貌を持ち、近所の子供たちからも人気があった。


成長するに連れ、私はどんどん美しくなり、周囲から高嶺の花のように扱われるようになったのはいつの頃からだろうか。


もちろん磨いたのは美貌だけでは無い。才色兼備という言葉は私のためにあるような言葉で、わたしには魔法の才能まであった。


誰から習う訳でもなく、自然とさまざまな属性の魔法を使えるようになった。扱いが難しく使い手を選ぶとされる無属性魔法『破裂バースト』でさえも簡単に扱えるほどに上達した。


今思えばそれが悪かったのかも知れない。私の男への理想も、私の美貌と実力に比例して上がっていた。


だが、私は男に慣れていなかった。


それも当然だ。


近くにいた男たちにとって私はレベルが高すぎて、近寄りがたい存在だったからだ。


そんな私に果敢にも近付く男がいた。


クズだった。


私に近付く男のことごとくが、クズだった。


ある男は金のため。ある男は虚栄心のため。ある男は自身の欲望のため。理由はそれぞれだったが、私を利用し弄び、そして私は捨てられたのだ。


消した。ゴミクズを灰も残らないほどに燃やし尽くした。

あるゴミは電撃で消し炭にした。

凍らせ、遥か北にある【魔王城】を囲む永久凍土に飾ったゴミもある。


ゴミを処分することは、この世界にとって正義だ。これで、私のように泣かされる女性が減るだろう。


私は、私の正義に従い、全てを闇に葬った。


証拠は完璧に消し去ったはずだった。


だが、私の善行に気付いていた者が居た。


ハクナ王国の魔導学校の創始者であり、校長でもある魔導士ハーモニカだ。


彼は私の実力を買って、魔導学校の教師にならないかと誘ってきた。


なるほど。ゴミクズしかいない世の中なら、私が教師となり、この手で自ら理想の男を育てれば良いのだ。


私はその誘いを承諾した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る