Heroes SAGA 〜Hakuna Matata Fantasy〜

@LyleS

Heroes SAGA

序幕

第0話 始まりの部屋

気が付くと見知らぬ部屋にいた。壁はびっしりと分厚い本で埋め尽くされている。部屋の中央には4つの台座があり、その上に一冊づつ本が置かれている。


いつからそこにいたのだろうか?部屋の奥に佇んでいた、フードを目深に被った人物と目があった。


「あなたが来るのを待っていました。あなたのお名前を教えていただけませんか?」


フードの人物の問いかけに答えるべきかと迷い、自分の名を思い浮かべた瞬間、その人物が次の言葉を紡いだ。


「なるほど、良い名ですね。

早速なのですが…。あなたにはここにある4冊の物語を読んでいただきたいと思っているのです。」


名前を言った覚えはないが、物語を読むためにここに来ているのだから、やぶさかではない。


4冊の物語の表題を一つ一つ確認してみる。


一番左にある重厚な装丁の深い紺色をした本には【冒険に憧れる王子】と書かれている。


左から2番目にある、やはり重厚な装丁の栗毛色の本には【勇者を目指す少年】と書かれている。


3番目の台座には、【魔導学校の女教師】と書かれてた黄金の豪華な装丁の本が置かれている。


そして1番右側にある台座には【魔王軍配下の竜王】と書かれた漆黒の本が置かれていた。


全ての表題を確認した所で、フードの人物が声をかけてきた。


「この物語は、少しだけですが、それぞれが干渉しあっています。全ての物語を読み終わった時、この部屋のさらに奥にある部屋にある特別な本を開くことができますよ。」


フードの人物越しに部屋の奥を見てみると、確かにどこかへ続く廊下が続いているのが見える。


あの先にある本も読むためには、ここにある本を読破する必要があるのか。


どれから読むのか一瞬迷うが、どうせ全て読むつもりではいるので、どれから読んでも良い。もちろん、面白くなければ、読むのをやめても良いし、飛ばして別の物語を読むのも良いだろう。


そう思い、まずは、一番左端にある【冒険に憧れる王子】を手に取った。

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