6#雪原のショジとユキヒョウと風船
びゅーーー・・・
びゅーー-・・・
「寒いぃ!!ここは・・・?」
トラのショジは風船と愛妻を探して遂に、1面雪が積もり、まるで銀世界の雪原地帯の山林に来てしまった。
「ここに大きな青い風船が飛んできた気がしたんだけど・・・寒いや・・・へっぷし!!」
ジャングル育ちのトラのショジには、この雪原地帯の厳冬が堪えた。
ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!ざっ!
「この雪の感触、たまんねぇーー!!ん?」
トラのショジは、雪原の一角に大きな白い丸いドーム状のを見つけて驚いた。
「なんじゃこりゃーーー!!場違いなまあるいもの・・・」
「触るなっ!!がおーーー・・・」
突然山林の中から、白い身体に黒斑のユキヒョウが現れた。
「そこのトラ!!見掛けねぇ奴だなぁ・・・」
「すいましぇん・・・ここに、青い大きな風船と雌のトラを見掛けましぇんか?!」
トラのショジは、寒さで鼻水を啜りながらユキヒョウに聞いた。
「風船?これのこと?」
ユキヒョウは大きな白く丸いドーム状に顔を突っ込むと、
ぷしゅ~~~~~~~~~~・・・
「出来た出来た!!俺特製の雪かまくら!!」
ユキヒョウは、口で萎んだ巨大な青い風船を引き摺り出してニヤリと笑った。
「俺は『ルロ』。此処を縄張りにするユキヒョウだ。雪が降る中、一生懸命に拾ったこの気象観測の巨大風船をぷーぷー口で膨らませて作ったんだから!!えっへん!!」
「あっ!!この風船!!いや、間違えた。
オマの風船なこんなに大きくないや。」
トラのショジは、萎ませた巨大風船を大事そうに畳んで雪原の奥底に仕舞うユキヒョウのルロを見詰めて言った。
「ユキヒョウさん、この大きな風船僕に膨らまさせて!!」
「駄目だよトラ。間接キスになるだろ?雄同士の。で、お前の名前は?」
「僕?『ショジ』だけど?お願い、かまくら入らせて!!僕は寒くて・・・」
「図々しいなあ!!もう!!」
ガラガラガラガラガラガラ!!
トラのショジがかまくらに無理矢理入ろうとしたとたん、せっかくユキヒョウのルロが作ったかまくらが崩れてしまった。
「ご、ごめんなさーーーーい!!」
赤面したトラのショジは、崩れたかまくらに呆然とするユキヒョウのルロの場から、雪に脚を滑らせてズッコケながらもそそくさと逃げて行ってしまった。
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