5#ライオンとチーターと・・・風船?!
「何なんだ・・・ここは・・・?!暑いっ!!」
トラのショジは、風船を追いかけていった愛妻のオマを無中になって探しまわって
とんでもない場所に来てしまった。
「ねえねえ、そこの・・・にゃんこ!此処はどこですかあ?」
「おいらはにゃんこじゃねえ!!おいらは、サーバルじゃ!!」
「すいませーんサーバルさん。此処は何処すかぁ?」
「見ての通りじゃん!!アフリカだよ!!あ・ふ・り・か!!」
「あふりか・・・」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
ぱおーーーーん!!
がおーーーー!!
ぐぁっか!!ぐぁっか!!ぐぁっか!!ぐぁっか!!
「なんじゃこりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
トラのショジはサーバルのワカと一緒に、アフリカの平原に集う動物達の自由でワイルドにみちみちた風景を見詰めて目を輝かせた。
ふうわり・・・
「あっ、風船だ。久しぶりだなあー。この平原に風船が飛んでくるなんて。
遠くの人間の住んでる街から飛んできたのかなあ?」
「ふ、風船?!どこ?!風船ってどこ?!」
サーバルのワカが風船と言ったとたん、トラのショジは目の色を変えてサーバルのワカ顔を近づけた。
「僕!今!風船を追いかけて来たんですっ!!つーか!!風船を追いかけて行方不明になった許嫁を探してここまで来たんですっ・・・って!!おいーーっ!!」
サーバルのワカは何を思ったか、空をフワフワと飛んできた風船を捕まえようと、何度もジャンプして飛び付いたのだ。
「わーーー!わーーー!これ!僕のフィアンセのオマちゃんの風船だよぉーーー!!
爪引っ掻けて割らないでぇーーーー!!」
ジャンプ力が高いサーバルだけに、トラのショジは半分ベソをかいて叫んだ。
「割らないでぇーーーー!!」
「割らないよぉーーーー!!」サーバルのワカの半ば怪訝な声色の返事が飛んできた。
「わー!どうしよどうしよ・・・って!!な、なんじゃこりゃ!!」
今度は、向こうからカラカルまでやって来て、サーバルと一緒にピョンピョン飛んで平原のそよ風に煽られてフワフワ浮いている風船を掴もうとした。
「わーい!!なにこれなにこれ!!」
「カラカルのガヴァちゃん!!これは風船だよーー!!ふうせん!!」
「たのしーーーーー!!ふうせーーーん!!」
風船の紐は、サーバルとカラカルのジャンプする風圧で、あっちにこっちにユラユラと揺れてお互いの肉球をかすめた。
ドドドドドドドドドドドド・・・
「ん?」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!
一瞬の出来事だった。
遥か向こうから2匹のチーターが猛スピードで走ってきて、地面スレスレまで降りてきた風船の紐をくわえて走り去って行ったのだ。
「待てぇーーーー!!この風船は僕のだぁーーー!!」
「あれ?トラが追いかけて来る!!」「トラ?何でこんなとこに?」
「撒こう!!」「あたしたちのスピードに付いていけるかな?」
チーターのアポタとザンバは代わる代わるくわえている風船の紐をパスしながら、必死に追いかけて来るトラのショジから逃げていった。
「げほっ!!凄い砂煙り!!ついていけないっ!!チーターの大きなストライドじゃ・・・トラだもん。僕。」
するり。
ふうわり・・・
「シマッタ!!風船を離しちゃった!!」
焦ったチーターのアポタは、砂煙に煽られてフワフワと舞う風船を取り戻そうとした。
その時だった。
「あーっ!!風船だーーー!!俺!!風船大好きぃ!!捕まえたーっ!!」
ぱぁーーーーーーーん!!
「あ・・・」「あーあ・・・」「ライオンさんが割っちゃった!!」
いきなり夢中で横から飛び出してきた雄ライオンのウルスは、爪の間に引っ掛かる割れた風船の破片を見詰めて呆然と見詰めていた。
「え~~~~~ん!!風船割れちゃったーーーー!!風船割れちゃったーーーー!!」
トラのショジはギャン泣きした。
「ごめんごめん!!トラさん!!悪気は無かったんだ!!つい、風船に手が出ちゃって!!
まさか割れるとは思わなかったし!!」
「だってだってぇーーー!!ライオンさぁーーーん!この風船はぁ愛妻の・・・あれ?」
ライオンのウルスの爪の先から地面にこぼれ落ちた割れた風船を拾って、爪で引き伸ばしたトラのショジは叫んだ。
「ごめん!!僕の勘違いだった!!僕の探してる風船は青い風船!!
この風船は紫だった!!
この平原の太陽の光の加減で青に見えたんだ!!
サーバルさん!カラカルさん!チーターさん!ライオンさん!巻き込んでごめんなさい!!」
トラのショジは、恥をかいたと顔を真っ赤にしてそそくさとアフリカの平原から逃げ出した。
「あーあ・・・トラさん行っちゃった。
俺はあの風船欲しかったから、捕まえようとしたんだけどなあ。」「おいらも。」「あたしも。」「はげどう。」
皆、ガッカリした口調で去って行ったトラを見送る中、ライオンのウルスは割った風船のゴムの破片を口に宛がって一生懸命に吹いて膨らまそうとしていた。
「ふーーー!ふーーー!!元通りになるからなあ?」
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