おっさんだった俺が美少女になって高校生からやり直してみたら人生クッソチョロかった~あの時イジめてきた奴がお近づきになりたいらしいけど気持ち悪いから消えなさい~
第158話 女子高生(おっさん)と七海八天とタイムリープ問題
第158話 女子高生(おっさん)と七海八天とタイムリープ問題
〈東京 某区事務所〉
「──きゃーっ! 生アシュナちゃんだー!」
「え、待ってめっちゃ可愛いですっ! 小説買いました! サイン下さい!」
「ヤソラ! 連れてくるなら言ってよ! わたしすっぴんだし!」
エンドレスエイトも終わり、8月初め。
次なる予定は自ら申し出たヤソラとの約束。
実は以前、小説発売の決起集会の時にもらったオファーの中で一つだけどうしても受けなくてはならないものがあった。編集長に言って連絡を取ってもらい、夏休みの間……今まさに、その場へと足を運んだのだ。
「あんた達に会わせに来たわけじゃないのよ、【オータムP】いる?」
そう、ヤソラをめぐる騒動──俺とオータムPのせいで停止している【bbk(ぶぶか)四十八手】デビュー計画。それを再開させなければならない、そのために直談判しに来た。
芸能事務所のダンススクール部屋では、未来の次期アイドル達がこぞって大集結していた。来年デビューを果たし、飛ぶ鳥を駆逐する勢いであっという間にトップにまで駆け上がるブブカの現研修生たちだ。
現在は初期メンバーであるヤソラ含む十三名しかいない……しかし、ここにいる全員が将来、女優やミュージシャン、ブランド会社の社長とめざましい進撃を
「会議室にいるみたい、行きましょ……ってあんた何泣いてんの!?」
「……いい匂い……汗で透けるTシャツ……透けブラ……アイドル達の桃源郷……」
「不気味なこと呟いてないで行くの!」
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〈会議室〉
「──ぅおお初めて会えた! 夢で逢えたら! 初めまして! 感激感謝雨嵐だ! 僕が【オータムモットー】だ!! 『オールナイトアキバ戦』……いや、違うな……とにかく初めまして」
「……………は、初めまして……」
ヤバい人間がいると思ってドン引きしてたら、そいつが目当てのP(プロデューサー)だった。テレビで観たのと全然違う、なんか浮浪者みたいな格好してるし髪ボサボサだしテンションがヤバい。かと思ったらなにかぶつぶつ言いながら長テーブルの周りを徘徊し始めた。
会議室にいる偉そうな方々は、オータムの奇行を気にしていない。
うって変わって丁寧に名刺を渡される、やはりこの人が伝説のP【オータム・モットー】で間違いなさそうだ。
「ごめん、説明しとくべきだった……オータムPって考え事始めるといつもこうなのよ………情緒がおかしくなるというか……」
「……病院つれてった方がいいんじゃない……?」
「それよりアシュナ。あんた、話があるんでしょ?」
そうだった、強烈なキャラに呆気にとられてる場合ではない。
「あのっ……オファーはとてもありがたいんですけど私はアイドルになる気はないんです。小説家として小説だけ書いてたいんで……だからっ、ヤソラをセンターとしたブブカのデビュー計画を復活させてもらえませんかっ!?」
「ん? いいよー。『レイド投票』……『pvp』………う~ん違うな……」
「………え? い……いいんですか……?」
「ただ、僕も君みたいな逸材を簡単に諦めるわけにはいかないからね。一つだけ、頼みというか条件がある」
「条件?」
「ここにいるヤソラ含むアイドル候補生達【bbk四十八手】は今日、秋葉原でゲリライベントを開催する。そこで観客達にその場で人気投票をしてもらうんだけど……そこに君も加わってほしい。【波澄アシュナvs bbk四十八手】──もし、ブブカ全員が君一人に負けるような事があったら僕はデビュー計画を白紙にするつもりだ」
「それ……『総選挙』じゃんっ!!!」
「それだっ!! 『bbk総選挙』!! やっとイベント名が決まった!! ありがとう!! さぁ準備だ!」
ずっとぶつぶつ呟いてたのはファン投票の名称考えてのかよ。
だからやらないって言ってるじゃん! と異議申し立てしようとすると、ヤソラに服を引っ張られた。
「アシュナお願い、これはアタシの願いなの……勝負して」
「ヤソラ………」
切実な表情をする彼女の頼みも断れる筈もなく……俺と未来のトップアイドル達との決戦が幕を開けた。
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