第6話 女子高生(おっさん)といる女子達


「ねぇねぇアシュナさん! 今度うちらとカラオケ行こうよ!」


 休み時間に寝ていると、クラスの陽キャ女子達から声がかかった。

 未だに目を見て話せない俺は視線を胸とか太ももとかに意図的に逸らしながら紅くなって言った。


「い……いや……あの私……歌うのとか苦手で……しかも多分音痴だから……カラオケに迷惑がかかる……」

「カラオケに迷惑なんてかからないよ!? どちらかというとかかるのはうちらにね!? アシュナさん面白いね! 照れててめっちゃ可愛い! ね? 行こうよ!」


 緊張のあまり、支離滅裂な事を言っても受け入れてくれた。さすが陽の人たち。

 おっさんになった今でも陽であり可愛い女子高生とは上手く話せない、二回りくらい違う小娘なのに情けないったらない。

 結局断りきれず、帰りにカラオケに行く事になってしまった。


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〈カラオケ『招き竜』〉


「~♪」

「え、やば! めっちゃ上手いじゃん! どこが音痴なの!?」

「いや……あの……忘年会とかでは慣れないお酒飲んでたから上手く歌えなかったんだと思う……あと今はタバコも買えないから吸えなくて……喉が綺麗だから……」

「なんの話!? なんで管理職経験者みたいな事言ってるの!? あはははっ!」


 歌ってみると意外にクリアな声が出た。

 仲睦まじく、わりと良い雰囲気になったものの顔はまだ紅い。

 女子高生たちがあられもない姿でくっついてきたり、下着を存分に見せてきたり、良い匂いが充満しているからだ。


「アシュナちゃんめっちゃ良い匂い~……え!? 香水つけてないの!? それでこんな良い匂いすんの!? 石鹸とシャンプーなに使ってるの!?」

「ぎゅ……牛乳石鹸と……『爽快 漢(おとこ)の黒雨』……」

「おじさん!? それお父さんのと間違えて使ってない!? あはははっ! アシュナマジはまる!」


 女子高生達に揉まれながら、良い匂いはこちらの台詞です本当にありがとうございます、と感謝した。


 

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