第4話 女子高生(おっさん)といる陰キャ同士


「やぁ! アシュナ君! 今日も素晴らしい肉体美だね! 是非拝ませてほしいな!」

「……ア、アシュナちゃん……お、お疲れ」

「ア……アシュナ殿……本日も麗しく……どぅふふ……」

「………っす」


「うん、今日も頑張って完成させよう」


 部活ーーそれは高校生にとって重要且つなくても困らないものだ。部活をしなくてもバイトで金を稼いだり社会経験を積む事はできるし、帰宅部に入り自分の夢に時間を費やしたっていい。部活でしか得られない経験値を稼いだっていい。つまりは大学サークルの予備戦みたいなものだ。


 俺もやり直す前は小説同好会みたいなものに所属していた。小説家を志していた俺にとってここだけがつまらない高校生活の癒しみたいなものだった。


 美少女となりタイムリープした今、帰宅部に入り別の場所で小説家になる夢も追う選択肢もあった。だが、ここに戻ってきているのはーーやはり、同士である仲間達の存在があるからだろう。


 【鈴木タケル】……エロ猿。仲間内ではお調子者、ゲームや漫画好き。茶髪、何発も殴られたまつじ○んみたいな顔。陰キャ。

 【猿渡ケン】……ムッツリ歴史博士。カードゲームが趣味、眼鏡に七三。ザ・日本人みたいなアジア顔。オタク言葉を多用する。陰キャ。

 【小間イオリ】……ムッツリ2。丸眼鏡、顔を髪で覆い隠している妖怪。低身長、勉強はできる。陰キャ。

 【金子ユウタ】……筋肉バカ。毎日筋トレしてる。陽気な性格だがナチュラルにセクハラ発言をする。本人はバカなので気づいていない。


 ジャンルは違えど、全員が自分の世界観を持つ小説家でいい奴等だ。もれなく陰キャだ。

 クラスが違うから授業中は中々会えないけど、こいつらがいたから卒業するまで踏ん張れたんだ。久々に戻ってきたホームに自然と心と体が落ち着く。


 自分の席に座る、暑さのピークは過ぎたけどまだまだ残暑を感じさせる日射しと熱気が室内に籠る。20年前だから室内にエアコンなんて大層な物は無く、1台の扇風機だけだ。


 俺は椅子に跨がりながら扇風機に向き合い、制服のボタンを外す。

 

「あっつ~ぃ……」

「「「………」」」

 

 めっちゃガン見されている。

 若人には刺激が重要、と意図的にサービスをしていると……冷えた麦茶やらアイスやらお菓子やらを勝手に運んできてくれた。

 更に居心地のいいホームになった。

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