第2話 女子高生(おっさん)のいる家族


「あ、おはようアシュナ。ご飯出来てるわよ」

「おはよう」

「お姉ちゃんおはよー」


 朝、着替えてリビングに降りるとテーブルで朝食を摂る家族から声がかかる。


(父さん母さんマナ、みんな若いな。20年前なんだから当然か……)


 俺の名は【波澄あしゅら】改め【波澄あしゅな】。

 タイムリープ×美少女化を果たして20年後の未来からやってきた【おっさん超絶美少女】だ。


 原因もなにもわからないが、とにかく俺は美少女化して人生をやり直している。今日で大体1ヶ月目ーーある程度には慣れてきた。異世界とかならまだしも過去の体験を繰り返してるだけなのだから流石に順応した、身体は女の子だけど。

 

「お姉ちゃん今日もスッピンで学校行くの? いい加減化粧覚えなよ~」

「いいじゃない、アシュナはそれでも美人なんだから」

「ホント美人って得だよね~スッピンでも学校一の美少女なんて噂になってるんだから。あたしもお姉ちゃんの顔に産まれたかった」

「マナも充分可愛いだろう、彼氏なぞ作ってないだろうな?」

「いないよ興味ないし」


 かつて男だった時には考えられない会話が繰り広げられる。父さんや母さんはともかく、妹には距離を置かれていたため高校時代に会話をした事はなかったのに今では仲良し姉妹らしい。


「お姉ちゃんと一緒の写真を載せたホームページすごいコメントされてるよ! お姉ちゃんもいい加減こーゆーのやりなってば」

「いや……おれ……私そーゆーのよくわからないから」

「お姉ちゃんってホント中身おっさんだよね~、そーゆーとこも人気になるんだからホント羨ましい」

「ほらほら二人とも、早く食べて学校行きなさい」


 朝食を終え、支度をしてマナと一緒に学校へ行く。

 妹がいるというのは何かと便利だ、下着とかの付け方もわからなかったから教えてもらったし女の子の生活を送る上でなにかと相談できる。

 

「なんかここ数日でさらにおっさん化して変なお姉ちゃんだけど、いいよ。あたしが教えてあげるから何でも聞いてね」


 マナは腕に絡みつきながら笑顔で言った。

 初めて、妹ってイイネって思った。

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